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アトピー性皮膚炎ととびひ:症状悪化の原因と対策

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アトピー性皮膚炎ととびひ:症状悪化の原因と対策

こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

アトピー性皮膚炎は、皮膚が乾燥してバリア機能が低下し、かゆみや炎症が現れる慢性の皮膚疾患です。

この状態では、さまざまな感染症のリスクが高まります。

特に「とびひ(伝染性膿痂疹)」はアトピー性皮膚炎の患者さんで発症しやすく、症状を悪化させる原因となるため注意が必要です。

とびひとは?

とびひは、細菌感染によって皮膚に水疱やかさぶたができる感染症です。

主に小児に多い病気ですが、アトピー性皮膚炎の患者さんでは年齢に関係なく発症するリスクがあります。

  • 原因菌:とびひの主な原因菌は、黄色ブドウ球菌と溶血性レンサ球菌です。
  • 伝染性:接触や引っかいた部分を介して周囲に感染が広がる特徴があります。

アトピー性皮膚炎ととびひの関係

アトピー性皮膚炎の患者さんは、以下の理由でとびひを発症しやすいとされています。

  • バリア機能の低下:アトピー性皮膚炎では皮膚が乾燥し、外部からの細菌やウイルスの侵入を防ぐバリア機能が弱くなっています。
  • かゆみによる掻き壊し:かゆみが強く皮膚を掻くことで細菌が侵入し、感染症のリスクが高まります。
  • 慢性的な炎症:炎症によって免疫機能が低下し、細菌が繁殖しやすい環境が整います。

とびひの症状

とびひの症状は以下の通りです。

  • 水疱:透明または黄色がかった液体を含む小さな水疱が現れます。
  • かさぶた:水疱が破れて液体が乾燥すると、黄色や茶色のかさぶたが形成されます。
  • かゆみ:強いかゆみを伴い、掻くことでさらに感染が広がることがあります。

とびひの治療

とびひの治療は、原因菌に応じた適切な抗菌薬の使用が中心です。

  • 抗生物質の外用薬:軽症の場合、感染部位に抗生物質のクリームや軟膏を塗布します。
  • 抗生物質の内服薬:広範囲に症状が広がった場合や重症例では、内服薬を併用します。
  • 掻き壊しの防止:症状を悪化させないために、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬を使用してかゆみを抑えます。

とびひを予防するためのポイント

アトピー性皮膚炎の患者さんがとびひを予防するためには、日常生活での工夫が重要です。

  • 皮膚を清潔に保つ:毎日入浴し、肌を清潔に保つことで細菌の繁殖を防ぎます。
  • 保湿ケアの徹底:乾燥を防ぐために、保湿剤をこまめに塗ることが大切です。
  • 爪を短く切る:掻き壊しを防ぎ、感染拡大を抑える効果があります。
  • 適切な治療の継続:アトピー性皮膚炎そのものの治療を適切に行い、皮膚バリア機能を改善します。

まとめ

アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚の状態に注意し、とびひを予防することが重要です。

もし感染が疑われる場合は、早めに医療機関を受診してください。

早期の治療が症状の悪化を防ぎます。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックでは、アトピー性皮膚炎やとびひを含む皮膚感染症の治療を行っています。

気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼


投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。