高血圧と咳は関連しますか?
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
高血圧と咳の関係についてわかりやすく解説します。
高血圧治療薬の副作用や関連する疾患についても触れています。
1. 高血圧自体が咳の原因になることは少ない
高血圧そのものが直接的に咳を引き起こすことはあまりありません。
ただし、間接的な関連がいくつかあります。
2. 高血圧治療薬と咳の関係
高血圧の治療に使われる薬が咳を引き起こすことがあります。
その代表がACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)です。
この薬は高血圧の治療に非常に効果的ですが、副作用として「乾いた咳」が出る場合があります。
この咳は、ACE阻害薬が「ブラジキニン」という物質を増やし、それが気道を刺激するために起こると考えられています。
もしACE阻害薬を服用中で咳が気になる場合:
- 主治医に相談してください。他の種類の降圧薬(ARBなど)に切り替えることで改善することが多いです。
3. 関連する病気が原因の場合
高血圧と咳が一緒に起きる場合、その背景に他の病気が隠れていることがあります。例えば:
- 心不全:高血圧が長期間続くと、心臓に負担がかかり、心不全を引き起こすことがあります。この場合、肺に水がたまり、咳や息切れが生じることがあります。
- 睡眠時無呼吸症候群:高血圧の原因や合併症として睡眠時無呼吸症候群が関与している場合、咳やのどの不快感が見られることがあります。
4. 咳の原因が他にある場合
高血圧の患者さんが咳を訴える場合、実際には他の原因が多いです。
- 気管支喘息
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 胃食道逆流症(GERD)
- アレルギー
これらが隠れていることもあるため、咳が長引く場合は呼吸器内科での診察をおすすめします。
5. どんなときに相談すべき?
以下のような場合には早めに相談してください:
- 咳が数週間以上続く
- 夜間や横になると悪化する
- 息切れやむくみがある
- 高血圧治療薬を飲み始めてから咳が出るようになった
最後に
高血圧と咳が同時に起きている場合、その背後にはいくつかの原因が考えられます。
適切な診断と治療のために、気になる症状があれば遠慮なくご相談ください。
当クリニックでも、詳しい問診や検査で原因を探り、一人ひとりに合った対応を心がけています。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼