糖尿病と咳は関連しますか?
糖尿病と咳は関連しますか?
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
糖尿病と咳の関係について解説します。
糖尿病治療や合併症が咳と関連する理由を詳しく説明します。
1. 糖尿病自体が咳の原因になることは少ない
糖尿病そのものが直接的に咳を引き起こすことはあまりありません。
ただし、糖尿病が背景にある場合、いくつかの間接的な要因が咳と関連することがあります。
2. 糖尿病の合併症による咳
糖尿病が進行すると、体の免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。
これにより、咳を伴う以下のような病気が発症しやすくなります:
- 肺炎:免疫力の低下により、細菌性肺炎や真菌性肺炎のリスクが高まります。
- 結核:糖尿病患者は結核にかかるリスクが高いとされています。
- 気管支感染症:ウイルスや細菌による感染が起こりやすくなり、長引く咳を引き起こすことがあります。
3. 胃食道逆流症(GERD)との関係
糖尿病は自律神経障害を引き起こすことがあり、これが胃腸の動きを遅らせることがあります。
結果として胃食道逆流症(GERD)を引き起こし、これが咳の原因になることがあります。
GERDによる咳は特に食後や横になったときに悪化しやすい特徴があります。
4. 糖尿病治療薬と咳の関係
糖尿病治療薬そのものが咳を引き起こすことは稀ですが、一部の薬が間接的に影響を与える可能性があります。
たとえば、SGLT2阻害薬の使用により、体の水分バランスが変化し、乾燥による喉の不快感が出ることがあります。
また、インスリン治療中の患者が低血糖を起こす際、喘鳴(ぜんめい)や咳を伴う場合があります。
5. 咳が長引く場合の注意点
糖尿病患者さんが咳を訴える場合、以下のようなポイントを確認することが重要です:
- 咳が数週間以上続いているか
- 発熱や体重減少があるか(感染症や結核の可能性)
- 食後や横になると咳が悪化するか(GERDの可能性)
- 息切れや胸痛があるか(肺炎や心疾患の可能性)
最後に
糖尿病と咳の関連は複雑であり、原因が複数重なることがあります。
咳が長引く場合は、糖尿病の治療とともに呼吸器内科での診察を受けることをおすすめします。
当クリニックでは、糖尿病患者さん特有のリスクを考慮しながら、適切な診断と治療を提供しています。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼