狭心症・心筋梗塞と咳は関連しますか?

狭心症・心筋梗塞と咳は関連しますか?

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

狭心症や心筋梗塞などの心臓病と咳の関連について解説します。

虚血性心疾患が引き起こす咳の原因や注意点について詳しく説明します。

1. 狭心症や心筋梗塞と咳の関係性

狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患は、心臓だけでなく肺や全身の循環にも影響を与えるため、咳が症状として現れることがあります。

特に心臓のポンプ機能が低下することで、肺に血液が溜まりやすくなる場合、咳や呼吸困難を引き起こすことがあります。

2. 心臓病が原因で起こる咳の主な要因

虚血性心疾患に関連して咳が起こる原因は以下の通りです:

  • 心不全:心臓の機能が低下することで、血液が肺にうっ滞し、咳や息切れを引き起こします。夜間や横になると悪化することが多いです。
  • 肺水腫:急性心不全や重症心疾患により肺に水が溜まり、湿った咳やピンク色の痰が出ることがあります。
  • 薬の副作用:虚血性心疾患の治療に用いられる一部の薬(ACE阻害薬など)が乾いた咳を引き起こす場合があります。

3. 注意すべき症状

心臓病に関連する咳がある場合、次のような症状が伴うことがあります。

これらは緊急対応が必要な場合もあるため注意が必要です:

  • 咳とともに胸痛や胸部圧迫感がある
  • 咳とともに血痰が出る
  • 横になると咳が悪化し、呼吸が苦しい
  • 足のむくみや体重増加が見られる
  • 強い倦怠感や動悸を伴う

4. 咳の原因を特定するための診断

心臓病に関連した咳を診断するためには、以下の検査が行われることがあります:

  • 胸部レントゲン:肺のうっ血や水腫の有無を確認します。
  • 心エコー検査:心臓の機能や血流状態を評価します。
  • 心電図:虚血性心疾患の兆候をチェックします。
  • 血液検査:心不全のマーカー(BNPやNT-proBNP)や腎機能を確認します。

5. 咳を軽減するための治療とケア

虚血性心疾患に関連した咳の治療は、原因となる心臓病に対する治療を中心に行われます。具体的には:

  • 利尿薬:肺のうっ血や水腫を軽減します。
  • 心臓の負担を軽減する薬:ACE阻害薬、ARB、ベータブロッカーなどが使用されます。ただし、副作用のチェックが必要です。
  • 生活習慣の改善:塩分制限、適度な運動、禁煙などが重要です。

6. 咳が続く場合の対処法

心臓病の治療中に咳が続く場合は、次の点を確認してください:

  • 処方された薬に副作用がないか
  • 体重の急激な増加(うっ血性心不全の兆候)
  • 呼吸困難や胸痛が悪化していないか

これらの問題がある場合は、すぐに主治医に相談してください。

最後に

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患と咳には密接な関連があり、早期の診断と治療が重要です。

気になる症状がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。