クリニックだより

医療従事者向け【2024年下半期中間報告】重症気管支喘息:生物学的製剤(バイオ製剤、抗体製剤)の使い分けランキング

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックoriginal 

こちらのページの内容は非常に多くの方に閲覧を頂いております。

当院における実績を主に公開しており、多くの方に参考になれば幸いです。

殿堂入り

オマリズマブ(商品名:ゾレア)
スイス製、ノバルティス社

歴史、費用と効果を考慮すると、他の薬剤を凌駕しています。

喘息だけでなく、花粉症や蕁麻疹にも効果があります。

今年の花粉症がひどい患者様にてオマリズマブが圧倒的に多くの患者様の支持を得ております。

当院において花粉症とともに喘息のコントロールも良くする一石二鳥を目指しております。

アレルギーにおいては花粉症、鼻炎、咳や痰、息切れ、皮膚のかゆみに困っている患者さんには恵みです。

適応症がある患者には最適な選択です。

横綱

デュピリマブ(商品名:デュピクセント)
フランス製、サノフィ社

喘息患者に幅広く効果があります。

アトピー性皮膚炎では顕著な改善を見せ、皮膚科領域では特に優れています。

喘息とアトピー性皮膚炎の両方がある場合、最も効果的です。

2024年下半期も昨年同様に多くの患者様に使用を新たに開始していただいております。

プラットフォーマーであるリジェネロン(米国)も協力体制をすることになり、サノフィにとっても強力な追い風になります。

小児から大人まで幅広く支持されており、来年のメーカーの目標は倍増というのも納得です。

次から次へと新たな適応をとり、さらに値段も安くなってきており盤石の態勢です。

ほかの病院からの依頼という形で、当院での導入の患者さんも多くなっております。

喘息、アトピー性皮膚炎、副鼻腔炎、結節性痒疹、蕁麻疹がある場合は特に優れた効果を発揮します。

大関


メポリズマブ(商品名:ヌーカラ)
イギリス製、グラクソスミスクライン社

好酸球数が高い喘息患者に有効です。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に唯一適応があります。

また、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎にも新たに適応を追加しております。

オマリズマブに次ぐ歴史があり、グラクソスミスクライン社が大事に大事に育てている薬です。

その会社のスタンスにも評価できます。

西
テゼペルマブ(商品名:テゼスパイア)
イギリス製、アストラゼネカ社

一番新しい薬で、理論上は、あらゆる喘息に効果が期待されていました。

しかし実際はアレルギー性の炎症がある程度上昇している喘息患者さんに効果がでます。

その点でメーカーも販売戦略の方向転換を強いられています。

喘息以外の適応はありません。

関脇

ベンラリズマブ(商品名:ファセンラ)
イギリス製、アストラゼネカ社

好酸球数が高い喘息患者に有効です。

適応が喘息しかないことと、自己注射製剤がないことにおいて遅れをとっている印象は否めません。

※このランキングは個人的な感想・印象に基づいています。

【キーワード】

重症気管支喘息, 生物学的製剤, オマリズマブ, デュピリマブ, メポリズマブ, テゼペルマブ, ベンラリズマブ, アレルギー, 花粉症, アトピー性皮膚炎, 呼吸器内科

【関連キーワード】

好酸球, IgE, 気道炎症, 喘息治療, 生物学的製剤の使い分け, 患者向け情報

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。