加熱式たばことCOPDの関係:本当に影響は少ないのか?

加熱式たばことCOPDの関係:本当に影響は少ないのか?

近年、「加熱式たばこ」を使用する方が増えています。

従来の紙巻たばこに比べて「健康への影響が少ない」と言われることもありますが、それは本当なのでしょうか?

特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんにとって、その影響は無視できない問題です。

今回は、最近の研究結果を基に、加熱式たばことCOPDとの関係について考えてみましょう。

加熱式たばこの影響に関する研究

2021年に発表された研究では、COPD患者が紙巻たばこから加熱式たばこに切り替えた場合の健康への影響が調査されました。以下のような条件で研究が行われています。

  • 対象者:1日20本程度の紙巻たばこを吸うCOPD患者
  • グループ分け
    • 紙巻たばこを継続するグループ
    • 加熱式たばこに切り替え、紙巻たばこを大幅に減らしたグループ
  • 観察期間:3年間(12、24、36カ月時点でデータ収集)
  • 測定項目
    • 年間の疾患増悪回数
    • 肺機能指数
    • QOL(生活の質)を測るCATスコア
    • 運動耐容能を測る6分間歩行距離(6MWD)

結果として、加熱式たばこに切り替えたグループで以下の改善が見られました:

  • 呼吸器症状の軽減
  • 運動耐容能の向上
  • QOLの改善
  • 疾患増悪回数の減少

加熱式たばこは安全なのか?

この研究結果は加熱式たばこのポジティブな側面を示していますが、注意も必要です。

  • COPDを治療するわけではない:加熱式たばこは紙巻たばこと比べた場合の「影響が軽減される可能性」が示されたに過ぎません。
  • 有害物質は含まれる:加熱式たばこも完全に無害ではありません。使用を続ければ、新たなリスクを抱える可能性があります。

患者さんへのメッセージ

COPDの治療で最も大切なのは、「たばこを完全にやめること」です。

加熱式たばこへの切り替えは一歩前進かもしれませんが、最終的には禁煙を目指すことが健康への最善策です。

一緒に健康的な生活を目指しましょう!

禁煙はあなた自身と家族の未来への贈り物です。まずは小さな一歩から始めてみませんか?

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
資格:医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート

環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)