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不妊治療中の喘息管理について:治療を進める上での安心ポイント

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不妊治療中の喘息管理について:治療を進める上での安心ポイント

不妊治療中の方にとって、喘息治療と妊娠の準備を両立させることは大きなテーマです。

「不妊治療中の薬が喘息とどう関わるのか」「喘息の治療を続けながら不妊治療を進められるのか」といった疑問や不安をお持ちではありませんか?

今回は、不妊治療と喘息治療の両立について、安心して治療を進められるためのポイントをお伝えします。

不妊治療中の喘息治療はどうする?

不妊治療ではホルモン治療を受けることが一般的ですが、ホルモンの変化が喘息の症状に影響を与える場合があります。

そのため、喘息治療を続けながら不妊治療を進めることが大切です。

  • ホルモン治療の影響:一部の女性では、ホルモンの変化によって喘息が悪化する場合があります。特に黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加が気道の過敏性を高めることがあります。これに対処するためには、喘息を事前に安定させ、ホルモン治療中も定期的に医師と相談しながら治療を進めることが重要です。
  • 喘息治療の継続が基本:喘息をコントロール下に置くことは、不妊治療を成功させるためにも必要です。酸素供給が十分でない状態は、妊娠率に影響を及ぼす可能性があります。

不妊治療中に使える喘息治療薬

不妊治療中でも、ほとんどの喘息治療薬を継続して使用できます。

以下に主な薬と安全性を示します。

  • 吸入ステロイド(ICS)

    安全性:吸入ステロイドは、不妊治療中でも使用可能な薬です。不妊治療中のホルモン変化により喘息が悪化するリスクを抑えるため、治療を継続することが推奨されます。

  • 気管支拡張薬(β2刺激薬)

    安全性:短時間作用型および長時間作用型の気管支拡張薬は、ホルモン治療中にも使用できます。症状の緩和に役立ちます。

  • 抗ロイコトリエン薬

    安全性:不妊治療中も安全に使用できます。特に夜間の症状が気になる方に適しています。

  • 経口ステロイド
    例:プレドニゾロン
    安全性:発作時の短期間の使用は問題ありませんが、長期間使用する場合は医師と相談し、リスクと利益を検討する必要があります。

不妊治療中の注意点

  • 医師同士の認識が大切:不妊治療を担当する医師と喘息治療を担当する呼吸器内科医が治療計画を立てることが重要です。不妊治療のプロセスに応じて喘息治療を調整することで、リスクを最小限に抑えられます。
  • 喘息の安定化を優先:不妊治療を始める前に喘息を安定させておくことが、不妊治療をスムーズに進める鍵となります。症状が安定していれば、不妊治療中のホルモン治療の影響も軽減できます。
  • ストレス管理:不妊治療は精神的なストレスがかかりやすいプロセスです。ストレスは喘息の悪化を招く要因となるため、リラクゼーションや休息を取り入れることが重要です。

よくある質問

Q1. 不妊治療中の薬の使用は胎児に影響しないですか?
→ 不妊治療中はまだ妊娠前の段階ですので、胎児への直接的な影響はありません。

ただし、妊娠が確認された場合は再度、薬の適正を確認する必要があります。

Q2. 不妊治療中に喘息が悪化したらどうすればいいですか?

→ すぐに呼吸器内科医に相談してください。

必要に応じて治療を調整することで、不妊治療を中断せずに進めることが可能です。

不妊治療中の喘息管理は、妊娠を成功させるための重要なステップです。

喘息治療を継続することは、酸素供給を確保し、母体の健康を守るために不可欠です。

不妊治療と喘息治療の両立について不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

あなたの治療がより安心して進められるよう、全力でサポートします。

山口裕礼
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。