なぜ、50代の現役医師が「本気で」人間ドックを受けたのか

― スタンダード脳プラスコースを受けてきました ―
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口裕礼です。
今回は、私自身が本気で健康診断を受けてきた話です。
普段から一般的な検診は受けています。
採血、尿検査、胸部レントゲン、心電図など、通常の健康診断はきちんと行っています。
しかし、普通の検診だけではわからないことがあります。
血液検査でわかること。
レントゲンでわかること。
心電図でわかること。
それぞれ大切ですが、それだけで全身の状態がすべて見えるわけではありません。
今回、私が受けたのはスタンダード脳プラスコースです。
特に目的としていたのは、脳MRI・MRAでした。
なぜ医者である私が、あえて人間ドックを受けたのか
私は日々、多くの患者さんと関わっています。
また、クリニックのスタッフ、関係業者の方々、地域の方々、家族など、本当に多くの人に支えられながら仕事をしています。
その中で、ふと思うことがあります。
もし自分に「突然」何かが起きたらどうなるのか。
医師であっても、病気にならないわけではありません。
医師であっても、脳卒中や心疾患、がんのリスクがゼロになるわけではありません。
むしろ医療者ほど、自分のことを後回しにしてしまうことがあります。
しかし、私に突然のことがあれば、患者さんにも、スタッフにも、関係者にも、大きな迷惑をかけてしまいます。
だからこそ、自分の健康状態を客観的に確認しておくことは、単なる自己管理ではなく、私にとっては一つの責任でもあります。
私が特に受けたかったのは脳MRI・MRA

今回の主目的は、脳の検査でした。
脳MRIでは、脳梗塞の跡、腫瘍、出血の痕跡、脳の萎縮などを確認することができます。
MRAでは、脳の血管の状態を調べることができます。
特に気になるのは、脳動脈瘤や血管の狭窄です。
もちろん、MRAを受ければすべての脳出血を完全に予防できる、というわけではありません。
しかし、くも膜下出血の原因になり得る脳動脈瘤などを早めに見つけることで、将来の大きなリスクに備えられる場合があります。
脳の病気は、ある日突然起こることがあります。
昨日まで元気だった人が、突然倒れる。
生活が一変する。
仕事ができなくなる。
家族や周囲の人の生活まで大きく変わる。
そういう現実を、医師として何度も見てきました。
だからこそ、私は今回、脳MRI・MRAをしっかり受けておきたいと思いました。
普通の検診では見えないものがある

一般的な健康診断は、とても大切です。
血糖、脂質、肝機能、腎機能、貧血、尿検査、心電図など、多くの情報が得られます。
ただし、それだけで全身のリスクがすべてわかるわけではありません。
たとえば、脳の血管の状態は、通常の採血ではわかりません。
小さながんや、深部の臓器の異常も、通常の検診だけでは見つかりにくいことがあります。
今回のような人間ドックでは、MRI、MRA、CT、PET、超音波検査など、通常の検診よりも踏み込んだ検査を組み合わせて行います。
「どこまで調べるべきか」は、人によって違います。
年齢、家族歴、生活習慣、血圧、喫煙歴、既往歴、不安に感じていること。
それらによって、必要な検査は変わってきます。
患者さんから人間ドックの相談を受ける機会が増えました
最近、患者さんの健康意識がとても高くなっていると感じます。
外来でも、
「先生、人間ドックは受けた方がいいですか?」
「PET検査は必要ですか?」
「脳ドックは受けた方がいいですか?」
「どのコースを選べばいいですか?」
と聞かれることが増えました。
その時に、ただ知識として説明するだけではなく、自分自身が体験していることは大事だと思います。
検査の流れ。
待ち時間。
着替え。
検査中の緊張感。
終わった後の疲労感。
食事のタイミング。
結果を待つ気持ち。
これは、実際に受けてみないとわからない部分があります。
医師として検査の意義を説明することはできます。
しかし、受ける側の感覚を知っておくことで、患者さんへのアドバイスはより現実的になります。
今回、私自身が人間ドックを受けた理由の一つは、まさにそこにあります。
実際に受けてみると、やはり疲れます
今回の検査は、体感として約3時間半でした。
正直に言うと、疲れました。
検査そのものが強い痛みを伴うわけではありません。
しかし、移動、待機、着替え、説明、検査、また移動という流れを繰り返します。
MRIではじっとしている時間もあります。
PETやCT、超音波なども含めると、それぞれの検査に集中力を使います。
健康を調べるための検査ですが、受ける側としてはやはり一仕事です。
だからこそ、患者さんに人間ドックをおすすめする時には、
「当日は無理な予定を入れない方がいいですよ」
「検査後は少し休めるようにしておくといいですよ」
「想像以上に疲れる方もいますよ」
と伝えたいと思いました。
検査後のお弁当


検査後には、お弁当をいただきました。
牛肉、卵焼き、野菜、ひじき、汁物、お茶。
検査を終えた後の食事は、普段以上にありがたく感じます。
普段は忙しい中で食事を済ませてしまうこともありますが、この日は少し違いました。
自分の体を調べた後に、ゆっくり食べる。
それだけでも、健康について考える時間になります。
人間ドックは、検査そのものだけでなく、自分の生活を見直すきっかけになります。
食事はどうか。
睡眠はどうか。
運動はどうか。
ストレスはどうか。
働き方はどうか。
そういうことを、自然に考える時間になりました。
自宅で食べた、10年以上ぶりのあんみつ


検査を終えて帰宅した後、自宅であんみつを食べました。
おそらく10年以上ぶりのあんみつです。
最近、私は『ポルトガル人のほどよい生きかた』という本を読んでいます。
ポルトガルの人たちは、甘いものやエスプレッソを楽しむ文化があるようです。
健康というと、つい「制限」「我慢」「管理」という言葉ばかりが浮かびます。
もちろん、食べすぎはよくありません。
甘いものを毎日好きなだけ食べるのは、健康的とは言えません。
しかし、人生から楽しみを全部取り除いてしまうことも、また健康的とは言えないのではないかと思います。

人間ドックで自分の体をしっかり調べた日。
その日の終わりに、自宅で久しぶりのあんみつを味わう。
それは、少し不思議ですが、私にとっては健康を考える一日の締めくくりとして、とても印象に残りました。
健康とは、ただ長生きすることだけではありません。
自分の体を大切にしながら、日々の小さな楽しみを味わえること。
それもまた、健康の一部だと思います。健康診断は「安心を買う」だけではない
人間ドックを受ける意味は、単に「異常なし」と言われて安心することだけではありません。
自分の体を見つめ直す。
生活習慣を振り返る。
これからの働き方を考える。
周囲の人に迷惑をかけない準備をする。
将来のリスクに早めに気づく。
そういう意味があります。
病気は、起こってからでは遅いことがあります。
もちろん、どれだけ検査をしても、すべての病気を完全に防ぐことはできません。
検査にも限界はあります。
見つかる病気もあれば、見つからない病気もあります。
それでも、調べることで見えてくるものは確かにあります。
特に脳や血管の状態は、症状がないうちに確認することに意味があります。
医師として、そして一人の人間として
私は医師です。
日々、患者さんに生活習慣の大切さを伝えています。
禁煙、睡眠、食事、運動、体重管理、血圧管理、定期検査の重要性を伝えています。
しかし、それを伝える側の自分自身が、自分の体に向き合っていなければ説得力がありません。
医師も人間です。
疲れます。
忙しさに流されます。
自分のことを後回しにしてしまうこともあります。
だからこそ、今回、自分自身で人間ドックを受けたことは、とても良い経験になりました。
患者さんに説明するためだけではなく、自分自身の人生を守るためにも必要な時間だったと思います。
最後に
今回、私はスタンダード脳プラスコースを受けてきました。
主な目的は、脳MRI・MRAです。
普段の検診は受けている。
でも、それだけではわからないことがある。
そのことを、改めて実感しました。
最近は、健康意識の高い方が増えています。
人間ドックや脳ドックを受ける方も増えています。
その流れは、とても良いことだと思います。
ただし、すべての人に同じ検査が必要なわけではありません。
年齢、家族歴、生活習慣、血圧、喫煙歴、既往歴、不安の内容によって、必要な検査は変わります。
大切なのは、
「何となく不安だから全部受ける」
ではなく、
「自分にとって何を確認すべきか」
を考えることです。
病気になってから慌てるのではなく、元気なうちに自分の体を知っておく。
それは、これからの時代の大切な医療の形だと思います。
健康は、気合いだけでは守れません。
健康は、検査だけでも守れません。
しかし、検査を受けることで見えてくるものは確かにあります。
そして、自分の体を知ったうえで、日々の生活をどう整えるか。
そこまで考えてこそ、本当の意味での健康診断なのだと思います。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口裕礼
投稿者プロフィール

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からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞
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