本日の夕刊から考える|著者と「会話」する読書――本を読むことは、えらいことなのでしょうか?

本日の夕刊に、印象深い記事が掲載されていました。

見出しは、
「著者と『会話』 距離保ち楽しめる」

本を読むことについて、詩人・文筆家の難波優輝さんが語る内容です。

記事では、読書とは単に知識を増やすことでも、流行の本を追いかけることでもなく、本を通して著者と静かに会話する時間である、という感覚が丁寧に描かれていました。

スマートフォンを開けば、SNSには誰かの意見が流れ続け、AIは即座に答えを返してくれます。
便利で、刺激的で、時には勇気づけられる世界です。

けれども、その一方で、私たちは少し疲れてしまうこともあります。

誰かの意見にすぐ反応しなければならない。
「いいね」を押すか、返事をするか、賛成か反対かを示すか。
常に何かしらの反応を求められる時代です。

そのような中で、本を開く時間には、独特の静けさがあります。

著者は目の前にはいません。
こちらの反応を急かすこともありません。
途中で本を閉じてもいい。
読み返してもいい。
理解できない箇所があっても、そのままにしておいてもいい。

だからこそ、本を読むことは、著者と適度な距離を保ちながら交わす、穏やかな会話なのだと思います。

本棚には、その人の歩いてきた時間がある

記事の写真には、壁一面の本棚が映っていました。

本棚を見ると、その人がどんな言葉に出会い、何に悩み、どんな時代を通ってきたのかが、少しだけ見えてくるような気がします。

今回、私自身もあらためて手に取ったのは、たとえばこのような本です。

  • 森信三『修身教授録』
  • 新渡戸稲造『修養』
  • 真藤順丈『宝島』

同じ「本」でも、そこに書かれている世界はまったく異なります。

人生の土台や姿勢を問う本。
時代を生きる人間の品格を考える本。
物語の中で、自分とは違う人生を追体験する本。

医学書や専門書だけでは得られないものが、文学や随筆、思想書にはあります。

それは、すぐに役立つ答えではないかもしれません。
しかし、ある言葉が何年も心の中に残り、迷った時にふと自分を支えてくれることがあります。

読書とは、今の自分が本を読むだけではありません。

未来の自分のために、言葉を心の中に置いておくことでもあるのだと思います。

読書は、知識を増やすためだけのものではない

本を読むと、「知識が増える」「語彙が増える」「頭がよくなる」と言われます。

もちろん、それも大切です。

しかし読書の本当の魅力は、もっと別のところにあるのではないでしょうか。

本を読むと、自分とは違う立場の人の痛みを知ることがあります。
自分にはなかった価値観に出会うことがあります。
今まで曖昧だった気持ちに、名前を与えてくれる文章に出会うこともあります。

「なんとなく苦しい」
「うまく言葉にできない不安がある」
「なぜか心が動いた」

そんな感情を、本の中の一文が代弁してくれることがあります。

本は答えを押しつけてくるものではありません。

むしろ、本を読むことで、私たちは自分自身に問いを返されるのだと思います。

本を読むことは、えらいことなのでしょうか?

記事の終わり近くには、こんな問いがあるように感じました。

「本を読むことは、えらいことなのでしょうか?」

たしかに、たくさん本を読んでいる人が、必ずしも立派な人とは限りません。
難しい本を読んでいることを誇るだけなら、それは読書そのものよりも、自分を飾る行為になってしまうかもしれません。

反対に、本をあまり読まなくても、日々の仕事に誠実で、人に親切で、家族を大切にしている人はたくさんいます。

では、読書の価値とは何でしょうか。

ここで、森信三先生なら、おそらくこのように言うのではないかと思います。

本を読むこと自体が、えらいのではない。
読んだ言葉を、自分の生き方の中でどう実行するか。
そこに読書の値打ちがある。

一冊の本を読んで、少しだけ人に優しくなれる。
一つの言葉に出会って、今日の仕事を丁寧にしようと思える。
自分の未熟さを知り、明日から少し姿勢を正そうと思える。

それならば、その読書は十分に意味があります。

本をたくさん読むことが目的ではありません。

一冊の本から受け取ったものが、ほんの少しでも自分の態度や言葉や行動を変えること。

それこそが、読書が人生にもたらす一番大きな力なのだと思います。

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞