クリニックだより

高齢者の「生きる力」を支えるものとは? 自立とサポートのバランスを考える

高齢者の「生きる力」を支えるものとは? 自立とサポートのバランスを考える

こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

日々の診療で多くの高齢者の方々と向き合う中で、ある傾向に気づきました。

それは、90歳近くになっても元気で自立した生活を送っている方もいれば、80歳前後で生きる力を失ってしまう方がいるということです。

この違いは何に由来するのでしょうか?私が感じた一つの大きな違いは、自立しているかどうかにあるようです。

自立がもたらす「生きる力」

私が元気な高齢者を観察していると、多くの場合、彼らは自分のことをできる限り自分で行おうとしています。

例えば、買い物に行く、家事をこなす、趣味を楽しむなど、日常の中で頭を使い、体を動かす機会が多いのです。

これにより、心身ともに活力を保っているように見受けられます。

実際、研究でも高齢者の自立が健康に良い影響を与えることが確認されています。

自立的な生活を送ることで、身体的な機能が維持され、認知症のリスクも低下することが知られています。

また、心理的にも「自分はまだできる」という自信が、生活の質を高める要素となります。

過度なサポートが生きる力を奪う?

一方で、80歳前後で生きる力を失ってしまった方々には、周囲の方々が手助けをしすぎている印象を受けることがあります。

家族や介護施設のスタッフが必要以上に介入し、すべてのことを代わりに行ってしまうと、その人自身が自分で何かをする機会が失われてしまいます。

これにより、身体機能が低下し、精神的な自信も失われることが考えられます。

もちろん、家族や介護者のサポートは非常に重要です。しかし、過度な介入が逆効果になることもあるのです。

これは「過介護」や「過干渉」と呼ばれる現象で、必要以上のサポートが本人の自立心を奪い、結果的に健康に悪影響を与える可能性があります。

自立とサポートのバランスを保つことが重要

では、どのようにすれば高齢者の「生きる力」を支えながら、適切なサポートを提供できるのでしょうか?

その答えは、自立を促しつつ必要なサポートを提供することです。

例えば、買い物に行くことが難しい高齢者に対しては、すべてを代わりに行うのではなく、一緒に行って選択肢を提供するという方法もあります。

また、日常の家事でも、できる部分は自分でやってもらうように促しつつ、困難な部分はサポートするというバランスが大切です。

介護者や家族は、本人のペースに合わせて「できること」を引き出し、無理なく自立を支えるよう心がけることが必要です。

過干渉ではなく、適度な見守りと声かけ、選択肢を提供することで、高齢者が自分の力で生活できる喜びを感じられるようになるでしょう。

まとめ:高齢者の「生きる力」を支えるために

高齢者の「生きる力」を支えるためには、周囲のサポートは不可欠です。

しかし、過度な介入は逆効果になることもあります。

家族や介護者は、自立を尊重しつつ、必要なサポートを提供することが重要です。

「自分でできることは自分で行う」という自立の精神を大切にしながら、高齢者が健康で元気に生活できるように、私たちも一緒に考えていきましょう。

皆さんも、ご家族の様子を観察してみてください。

サポートが必要な場面でも、まずは本人が自分で挑戦できるような環境を整えてみてはいかがでしょうか?

高齢者の皆さんが、いつまでも元気に過ごせるように、私たちもお手伝いしていきます。

何かご相談があれば、いつでもお気軽にご連絡ください。


投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。