クリニックだより

働きながら親の認知症介護を乗り切るために

働きながら親の認知症介護を乗り切るために

こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

現在、現役世代の方々にとって、親の介護は避けて通れない課題の一つです。

特に親が認知症を発症した場合、日常生活が大きく変わり、何をどのように進めれば良いか戸惑うことが多いかもしれません。

今回は、働きながら親の認知症介護を乗り切るためのアドバイスをお伝えします。

1. まずは情報収集から始めましょう

認知症の症状や進行について正確な知識を持つことが大切です。

初期段階では物忘れや注意力の低下が目立ちますが、進行すると生活におけるさまざまな支援が必要になります。

  • かかりつけ医や専門医に相談し、認知症の種類や進行状況を把握する。
  • 介護保険制度の利用方法を確認する(市区町村の窓口でケアマネジャーを紹介してもらえます)。

2. 介護サービスを活用する

介護を家族だけで抱え込むと、心身ともに大きな負担になります。

認知症対応型のデイサービスやショートステイなどの介護サービスを積極的に活用しましょう。

活用できるサービス:

  • デイサービス:日中の見守りやリハビリを提供。
  • 訪問介護:自宅での生活をサポート。
  • ショートステイ:急な仕事や旅行の際に親を短期間預けることが可能。

これらのサービスを利用することで、仕事に集中できる時間を確保できます。

3. 家族や職場と連携する

一人で抱え込まず、家族や職場と情報を共有することが重要です。

介護に理解のある環境を作ることで、心の余裕が生まれます。

家族との分担:

  • 家族全員で役割を話し合い、負担を分散する。
  • 遠方に住む家族には定期的な金銭的支援や電話での見守りを依頼。

職場への相談:

  • 介護休業や短時間勤務制度を利用できるか人事に確認。
  • 上司や同僚に状況を伝え、急な欠勤時のフォロー体制を整える。

仕事を続けることで生活のリズムが保たれ、心の安定につながることもあります。

4. 自分の心身の健康を守る

介護を続ける中で、ストレスや疲労が蓄積しやすくなります。

自分自身が健康でなければ、親を支えることも難しくなります。

ストレスケアの方法:

  • 定期的に趣味やリフレッシュの時間を確保する。
  • 必要に応じてカウンセリングを受ける。
  • 体調が悪いときは無理をせず、専門家やサービスに頼る。

5. 認知症との向き合い方を柔軟にする

認知症の親に対して、「以前の親」と同じように接しようとすると、思うようにいかないことに苛立ちを覚えるかもしれません。

症状に合わせた柔軟な対応が大切です。

  • 言葉ではなく表情や声のトーンで伝えようとする。
  • 過去の記憶に寄り添い、親が安心できる話題を心がける。
  • 親ができることを尊重し、過剰に手を出さない。

6. 必要なら地域資源を頼る

地域には、介護者を支援するための相談窓口や団体があります。

例えば、認知症カフェや家族会では、同じ悩みを持つ方々との情報交換が可能です。

役立つ窓口:

  • 市区町村の高齢者相談窓口
  • 認知症介護研究・研修センターの情報
  • 民間の介護相談サービス

親の介護は誰もが初めて直面する経験です。

「できるだけ穏やかに、できることを少しずつ進める」という姿勢を忘れずに、専門家やサービスを頼りながら、無理なく乗り越えていきましょう。

当クリニックでは、働くスタッフが介護で困難に直面しているとき、仕事を続けながら介護ができるよう全力で支援する方針を取っています。

必要な支援は遠慮なくお知らせください。

一緒に最善の方法を考えていきましょう。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼


投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。