他院での診断や治療方針が異なる場合について
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
今回は、患者さんが治療を受ける中で遭遇することがある「診断名や治療方針の違い」について、さらに医師側の責任についても考えてみたいと思います。
診断や治療の違いに直面した患者さんの不安
患者さんの中には、当院で治療を続けながら他の医療機関にも相談をされる方がいます。
その結果、異なる診断名や治療方針を示されることがあります。
このような状況に直面すると、多くの方が戸惑い、「どちらの意見を信じればいいのだろう」と不安を抱かれることでしょう。
なぜ医師の意見が異なるのか?
医療は一つの正解だけがある分野ではありません。
診断や治療方針は、医師の専門分野、経験、患者さんの症状の見え方、検査結果の解釈などによって異なることがあります。
例えば、一人の医師が「症状は喘息に見える」と判断し、別の医師が「慢性副鼻腔炎の可能性が高い」と考えることも珍しくありません。
しかし、患者さんの立場からすれば、異なる意見を受けると混乱してしまいます。
そのため、意見を述べる医師には、その意見が患者さんに与える影響を十分に考慮する責任が伴います。
医師の責任について
- 患者さんの主治医への敬意を払うこと
他院での診断や治療を否定するような発言は、患者さんの不安を必要以上に煽る可能性があります。もし異なる意見を伝える場合は、「主治医にこういう観点を相談してみてはどうでしょう」といった形で、患者さんが冷静に考えられるよう促すことが大切です。 - 明確な根拠を示すこと
異なる意見を述べる際には、それが単なる推測ではなく、具体的な根拠に基づいている必要があります。「これが正しい」と断言するのではなく、「こういう可能性も考えられる」と、患者さんが納得しやすい形で伝えることが望ましいです。 - 不必要な不安を与えないこと
患者さんの健康状態をより良い方向に導くことが医師の役割です。そのため、診断や治療に対する意見が異なる場合でも、不必要に不安を煽るような表現を避けるべきです。
信頼関係を大切にしたい
患者さんが医師を信頼できるかどうかは、安心して治療を続けられるかどうかに直結します。
その信頼関係を損ねるような言動は、患者さんの混乱を招くだけでなく、治療の妨げになることもあります。
一方で、患者さん自身が複数の医師の意見を聞くことは、よりよい治療の選択につながることもあります。
ただし、意見が異なった場合には、一人で悩まず、主治医とよく相談していただきたいと思います。
当院でも、他院の診断や治療について遠慮なくご相談いただければ、丁寧に説明しながら一緒に解決策を考えていきます。
最後に
医療の現場では、意見の違いが生じることは避けられません。
しかし、患者さんの不安を最小限に抑え、治療をより良い方向に進めるためには、医師同士の敬意と患者さんとの信頼関係が何よりも重要です。
当院では、患者さんが安心して治療を受けられるよう、常に誠実な対応を心がけています。
不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼