朧の森に棲む鬼から考える人生の在り方
こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
本日観た松本幸四郎さん主演の舞台「朧の森に棲む鬼」は、幻想的な世界観のなかで、全ての登場人物が必死に生きる姿を映し出していました。
善人、悪人、どちらの立場であっても、その一人ひとりが自分なりの思いを抱え、理想を求め、時に欲望に突き動かされながら前へ進もうとします。
その「必死さ」は、私たちの普段の生活にも共通するものがあるように思います。
「もっと、もっと」と求め続ける心
舞台中の主人公は欲望を満たしても、達成感を得ても、すぐに「もっと」を求める姿が印象的でした。
欲望は不思議なもので、いくら手に入れても満たしきれないことがあります。
「次はこれがあれば幸せになれるかもしれない」と考えては、新たな欲を追い求める——そんな経験は私たち自身にも心当たりがあるのではないでしょうか。
けれど、果たしてそれで本当に幸せになれるのか。
ひとつ手に入れたら、また次を求める。
その繰り返しのなかで、心は本当に穏やかになれるのでしょうか。
これは、物質的な欲求だけではなく、健康や美容、仕事、家族関係など、あらゆる側面で当てはまる問いかけです。
不安を抱えることは決して悪いことではありません
作品中には、一見すると弱気な内面を隠すために、口先だけで自分を大きく見せようとする男が登場します。
不安や恐れが大きくなるほど、人はその心の揺らぎを覆い隠そうとして、言葉巧みに自分を飾り立てることがあります。
病気と向き合う患者さんの中にも、強がることで不安を抑え込もうとする方は少なくありません。
これは日常の人間関係においても同様で、不安が深まるほど、周囲に対して強い自分を演出し、あえて上手な言葉遣いで優位に立とうとする人もいます。
しかし、不安を感じることそのものは決して悪いことではないのです。
不安があるからこそ、人は立ち止まって状況を見直し、対策を考え、必要に応じて助けを求めることができます。
不安は私たちに慎重な行動を促し、より良い方向へ進むための糸口にもなり得るのです。
幸せへのヒントは自分の内側に
「朧の森に棲む鬼」は、人間の内面に潜む欲望や不安、そして成長を描いた作品です。
私たちが日常で感じる「もっと、もっと」の気持ちや、不安や臆病さ、必死に生きる姿は決して特別なことではありません。
大切なのは、その気持ちに振り回されず、今ある小さな幸せや満足を見つめること。
以下のような工夫で、少しずつ心を穏やかにする手がかりが生まれるかもしれません。
- 小さな満足に目を向ける: 朝の心地よい空気や日常のちょっとした会話など、ささやかな喜びに気づくことで気持ちに余裕が生まれます。
- 不安を言葉にする: 家族や友人に不安や悩みを話すことで、気持ちが軽くなり、思わぬ解決策が見つかることもあります。
- 健康管理を怠らない: 心と体はつながっています。適度な運動、バランスのとれた食事、必要な医療的サポートは、不安や欲望と上手につきあう土台となります。
クリニックからのメッセージ
私たちは健康を通じて、皆さまの日常がより明るく、豊かなものになるようお手伝いしたいと考えています。
舞台の世界で迷いながら生きる登場人物たちと同じように、私たちも日々、迷い、悩み、前へ進んでいきます。
その過程を支えるためのパートナーとして、当クリニックをぜひご活用ください。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口裕礼