子宮内膜症・喘息・アトピー…実はつながってる?

〜“炎症”と“免疫”から見える女性の体のヒミツ〜
はじめに|それぞれ別の病気なのに「一緒に悩んでる人」が多い理由
子宮内膜症、喘息、アトピー性皮膚炎――
まったく違うように見えるこの3つの疾患ですが、
実は「免疫の異常」と「慢性炎症」という共通点があることが分かってきました
女性にとってはホルモンの波も加わることで、
ある時期にこれらの症状が一緒に出ることも…。
この記事では、それぞれの病気の特徴と、なぜ重なりやすいのか?
医学的な視点から、わかりやすく解説していきます
子宮内膜症ってどんな病気?
- 本来は子宮の内側にあるべき内膜組織が、卵巣や骨盤の中などにできてしまう病気。
- 毎月のホルモンの影響で、その組織が出血→炎症→癒着を繰り返すため、強い生理痛・腹痛・不妊の原因になることも。
- 免疫システムの異常で、体が“間違えて”その内膜を排除できなくなることがあると考えられています
喘息・アトピーとの意外な共通点
共通キーワードは「免疫」と「炎症」
疾患 | 関与する免疫 | 主な炎症の場所 |
---|---|---|
子宮内膜症 | Th2型免疫 | 骨盤・卵巣周囲 |
喘息 | Th2型免疫 | 気道(肺の中) |
アトピー性皮膚炎 | Th2型免疫 | 皮膚全体 |
このように、3つの病気とも「Th2型免疫」が関与し、アレルギー的な体質と炎症が共通して見られることがあるのです。
マスト細胞(肥満細胞)の活性化も共通!
- 子宮内膜症の病変にも、アトピーや喘息と同じくマスト細胞が活性化しているという報告も
- これがヒスタミンの放出や痛み、炎症の慢性化に関与していると考えられています。
女性ホルモンと3つの病気の関係
エストロゲンの波が影響しているかも?
- 子宮内膜症はエストロゲンによって進行する疾患。
- 喘息は月経前後に悪化するケースが多く、特にエストロゲンの急減が影響
- アトピー性皮膚炎も、生理前や更年期に悪化する例が多く報告されています。
女性の体はホルモンの影響を受けやすく、月ごとに体調がゆらぐのは自然なことなのです
それぞれの疾患をもう少し詳しく
子宮内膜症
- 主な症状:激しい月経痛、性交痛、排便痛、不妊など
- 原因:月経血の逆流、免疫異常、遺伝
- 治療:ホルモン治療、手術など
喘息
- 主な症状:咳、ゼーゼー、息苦しさ
- 原因:アレルゲン(ダニ・花粉・ストレスなど)、気道過敏
- 治療:吸入ステロイド、気管支拡張薬など
アトピー性皮膚炎
- 主な症状:湿疹、かゆみ、皮膚の乾燥
- 原因:バリア機能低下、アレルギー体質、乾燥・ストレス
- 治療:保湿、ステロイド外用、抗ヒスタミン薬など
どう付き合えばいい?|女性ならではのアプローチを
- ホルモンの変化を「敵」ではなく「味方」に
→ 月経周期に合わせて、薬やスキンケア・呼吸器ケアのタイミングを調整するのも一つの方法です。 - 婦人科・呼吸器内科・皮膚科の連携を
→ どれか一つの診療科だけでは気づけない「体の声」を拾うことができます。 - 免疫と炎症に目を向けた生活習慣も大切
→ 食事、睡眠、ストレスケア、そして腸内環境(←大事!)が、すべてに影響します。
まとめ|「私の不調、もしかして関係あるかも?」と思ったら
子宮内膜症・喘息・アトピーは、それぞれ異なる病気ですが
実は同じ“土台”のうえに乗っている病気かもしれません。
あなたの今の不調が、もしかしたら別の症状と“つながっている”かもしれません
一人で抱え込まず、婦人科だけでなく皮膚科や呼吸器内科にも相談してみることで
今まで見えなかった「体の全体像」が見えてくるかもしれません。
お気軽に、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックにご相談くださいね
投稿者プロフィール

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資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
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