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美容師さん向けの喘息管理 – 安全に働くためのヒント

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美容師さん向けの喘息管理 – 安全に働くためのヒント

こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

美容師として働く皆さんは、日々お客様の髪を美しく整える素晴らしい仕事をされています。

しかし、ヘアケア製品やカラー剤など、揮発性の高い化学物質を扱う環境は喘息を抱える方にとってリスクが伴います

今回は、美容師の方が安全に仕事を続けるための喘息管理のポイントをお伝えします。

美容室が喘息に影響を与える要因

美容室は化学薬品や揮発剤、有機溶剤を日常的に使用するため、喘息の症状が現れやすい環境です。

  • ヘアカラーやパーマ液:これらには揮発性の高い成分が含まれており、長時間吸入することで喘息の発作を引き起こすことがあります。
  • スプレーや整髪料:エアゾールスプレーなどは微細な粒子が空気中に舞い、吸入すると喘息症状を悪化させることがあります。
  • 有機溶剤:美容室で使用される多くの製品には有機溶剤が含まれており、吸引すると呼吸器に負担がかかります。
  • 換気不足:適切な換気がされていないと、空気中の化学物質濃度が高まり、症状が悪化するリスクがあります。

安全に仕事を続けるための具体的な対策

美容室で喘息を抱える方が安全に働くためには、以下の対策を取り入れることが推奨されます。

  • 適切な換気:作業中は窓を開けたり、換気扇を使用して化学物質が溜まらないようにしましょう。
  • 防護マスクの着用:揮発性の高い薬剤を使用する際には、防護マスクを着用して吸入を防ぎます。
  • 薬の携帯:吸入薬や予防薬を常に携帯し、症状が出たときにすぐに使用できるように準備します。
  • 作業環境の工夫:エアゾールスプレーを使用する際は、お客様と自分の顔が化学物質を直接吸わないような位置取りを心がけましょう。

心理的な側面のケア

美容師の仕事は体力や集中力を求められるため、ストレスが溜まりやすい職場でもあります。

ストレスが喘息を誘発することがあるため、休憩時間に深呼吸やリラックス法を取り入れ、心身をリフレッシュさせることが重要です。

緊急時の対応

仕事中に喘息発作が起きた際には、次の対応を心がけてください。

  • 作業を中断し、安全な場所へ移動:落ち着いて座り、呼吸を整えましょう。
  • 吸入薬の使用:迅速に吸入薬を使用し、症状を和らげます。
  • 症状が改善しない場合:改善が見られない場合は、同僚に協力を求め、医療機関に連絡してください。

美容室の環境改善

美容室の管理者は、スタッフが安全に働けるような環境を整える責任があります。

高性能な換気システムの導入や、揮発性の高い薬剤の使用頻度を適切に管理することで、健康的な作業環境を作り出すことができます。

読者へのメッセージ

美容師の仕事はお客様の美しさを引き出す大切な職業です。喘息を抱えていても、適切な対策を講じることで、安全に仕事を続けることができます。

自分の体調を大切にし、周りのサポートを得ながら働いてください。

当院では、美容師の皆さんが健康を保ちながら働けるよう、全力でサポートいたします。ご相談があれば、ぜひお気軽にお声がけください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。