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自己免疫疾患と喘息の関係について

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自己免疫疾患と喘息の関係について

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

今回は「自己免疫疾患と喘息の関係」についてお話ししたいと思います。

自己免疫疾患や喘息にお悩みの方、またその関係性が気になる方に、ぜひ知っていただきたい内容です。

自己免疫疾患とは?

まず、自己免疫疾患とは何でしょうか?

私たちの体には免疫システムが備わっており、外敵(ウイルスや細菌など)から体を守る働きをしています。

しかし、自己免疫疾患の場合、この免疫システムが誤作動を起こし、自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまいます。

代表的な疾患には以下のものがあります。

  • 関節リウマチ(RA): 関節に慢性的な炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こします。
  • 全身性エリテマトーデス(SLE): 皮膚、関節、腎臓、心臓など全身に影響を及ぼす疾患です。
  • シェーグレン症候群: 涙や唾液の分泌が減少し、ドライアイや口の乾燥が主な症状となります。
  • 強皮症(全身性硬化症): 皮膚が硬くなり、内臓にも影響を与えることがあります。
  • 橋本病(慢性甲状腺炎): 甲状腺が攻撃され、甲状腺ホルモンの分泌が低下します。
  • バセドウ病: 甲状腺が過剰にホルモンを産生し、新陳代謝が亢進します。
  • 1型糖尿病: 膵臓のβ細胞が攻撃され、インスリンの分泌が低下します。
  • 潰瘍性大腸炎クローン病: 消化管に慢性的な炎症を起こします。
  • 多発性硬化症: 中枢神経系が攻撃され、神経症状を引き起こします。

自己免疫疾患は多岐にわたり、症状も全身に及ぶことがあります。

そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。

喘息との関係

喘息は自己免疫疾患とは異なり、主に「アレルギー反応」によって気道に炎症が起き、呼吸がしにくくなる疾患です。

しかし、いくつかのポイントで自己免疫疾患との関連性が考えられています。

  • 共通の炎症機序: 自己免疫疾患も喘息も、免疫系の異常によって炎症が起こる点で共通しています。特に炎症性サイトカインや免疫細胞の活性化が関与しています。
  • 好酸球の増加: 喘息患者の一部には「好酸球性喘息」というタイプがあり、自己免疫疾患でも好酸球が増加することがあります。これは共通の免疫経路が関係している可能性を示唆しています。
  • 合併症の可能性: 関節リウマチやSLEなどの自己免疫疾患を持つ方は、喘息を合併するリスクが高いと報告されています。これらの疾患が同時に存在すると、症状が複雑化し治療が難しくなることがあります。
  • 治療薬の影響: 自己免疫疾患の治療に使われるステロイドや免疫抑制薬は、喘息の症状を緩和する効果もあります。一方で、長期使用による副作用も考慮する必要があります。

日常の注意点

自己免疫疾患と喘息の両方を持つ方は、以下の点に注意しましょう。

  • 専門医との連携: 複数の疾患がある場合、各専門医との情報共有が重要です。総合的な治療計画を立てることで、症状のコントロールがしやすくなります。
  • 定期的な検査: 症状の進行や治療効果を確認するために、定期的な検査を受けましょう。血液検査や肺機能検査が役立ちます。
  • 生活習慣の見直し: バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠が免疫系のバランスを保つのに役立ちます。また、喫煙や過度の飲酒は避けましょう。
  • 感染予防: 免疫抑制薬を使用している場合、感染症のリスクが高まります。手洗いやマスクの着用、ワクチン接種などで予防に努めましょう。

まとめ

自己免疫疾患と喘息には、免疫系の異常や炎症といった共通点があり、一部の患者さんでは両方を合併する可能性があります。

一見別々の疾患に見えますが、深い関連性があることが分かります。

もし両方の症状に悩んでいる方や治療に不安がある方は、ぜひ当クリニックにご相談ください。

専門的な視点から最適な治療とアドバイスを提供いたします。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。