🫁 「ここ以外に行きたくない」— 医療と人間関係の本質を考える

こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 院長の山口裕礼です。

先日、半年ぶりに喘息の患者さんが受診されました。
もともとコントロールは決して良いとはいえず、薬を工夫しながら何とかやり過ごしていた方です。

私はこう伝えました。
「もし当院への受診が難しいなら、近くのどのクリニックでもいいんです。『私と同じ薬をください』と伝えれば、きっと同じ薬を出してくれますよ」

医学的には、それで十分だったはずです。

ところが――

診察を終え、処方箋をお渡しする際、その方は言いました。
「私はここ以外に行きたくないです」

🪞 医療は“場所”ではなく“関係”で成り立つ

この一言は、私に強く響きました。
医療とは薬を出すことでも、検査をすることでもありません。

「この人に診てもらいたい」
その思いがあるからこそ、薬も検査も意味を持ちます。

医学は「不確実なもの」です。
同じ薬を使っても、効果が出るかどうかは人によって異なります。
最新の治療を行っても、望む結果が得られるとは限りません。

だからこそ、医療の核心は「医師と患者の関係性」に宿るのだと思います。

🌱 人は関係の中で生きる

人間は孤立した存在ではありません。
支え合い、信じ合うことで生きています。
医療も同じで、医師と患者の間に生まれる「信頼」があって初めて成立します。

「ここ以外に行きたくない」という言葉は、医師としての私への期待であると同時に、人と人のつながりを求める声でもあります。

それに応えることこそが、医師の使命なのだと感じました。

🌌 医療とは、安心を共に築く営み

医療に万能さを求めると、やがて失望します。
しかし「安心を分かち合うもの」と捉えれば、その価値は大きく広がります。

  • 薬や検査は、信頼を支える道具にすぎない
  • 本当に人を癒やすのは「安心」と「つながり」
  • 医療の本質は、人間関係の中にこそある

「ここ以外に行きたくない」という一言が、私にそれを改めて教えてくれました。

医学は日々進歩しています。
それでも、人を動かし、医師を突き動かすのは最新の知識ではなく、患者さんの一言かもしれません。

その言葉に応え続けること――
それが、私が医師として歩む理由です✨

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)