梅雨に咳が増えるのはなぜ?

せき・ゼーゼー・息苦しさ…呼吸器内科から伝えたい、湿気の季節の過ごし方

こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックです。

雨の日が続き、湿度が高くなる梅雨。
この時期になると、

  • 咳がなかなか治らない
  • 夜から朝方にゼーゼーする
  • 痰が増えた気がする
  • のどの違和感や鼻水から咳につながる
  • 「風邪だと思っていたのに、もう2週間以上続いている」

といったご相談が増えてきます。☔

梅雨は、気温・湿度の変化、室内のカビやダニ、エアコンによる冷え、そして季節を問わず起こる感染症などが重なり、鼻・のど・気管支にとって意外に負担の大きい季節です。

今回は、梅雨時に咳や息苦しさが増える理由と、ご自宅で気をつけたいこと、呼吸器内科を受診する目安について解説します。

梅雨に咳が出やすくなる4つの理由

1.湿気で増えやすい「ダニ・カビ」などの刺激

喘息やアレルギー体質がある方にとって、室内環境は症状を左右する大切な要素です。

気管支喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症があり、さまざまな刺激に敏感になっている状態です。ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉、ペットなどは、喘息に関係する代表的な環境因子として知られています。

梅雨は窓を開けにくく、室内に湿気がこもりやすい季節です。
寝具、カーペット、ソファ、エアコン内部、浴室まわりなどに汚れや湿気がたまると、気道への刺激が増えることがあります。

特に、

  • 夜間・明け方に咳が出る
  • 横になると咳が増える
  • 息を吐くときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」する
  • 天気が崩れる前後に胸苦しさを感じる

という方は、単なる風邪ではなく、喘息や咳喘息の影響も考える必要があります。

2.寒暖差とエアコンの冷え

梅雨は蒸し暑い日がある一方、雨の日は肌寒く感じたり、電車・職場・お店では冷房が強く効いていたりします。

この温度差が、敏感になっている鼻や気管支を刺激し、咳や鼻水につながることがあります。

喘息は、咳、呼吸困難、胸苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴などを起こし、季節や気温差の影響を受けやすい病気です。

「外では蒸し暑いのに、室内に入ると咳き込む」
「寝る前に冷房をつけると、朝方に咳が止まらない」

このような場合は、冷えすぎや乾燥だけでなく、気道の炎症が隠れていることがあります。

3.鼻炎・副鼻腔炎から起こる“後鼻漏の咳”

梅雨は、アレルギー性鼻炎や鼻づまり、のどに鼻水が流れ込む「後鼻漏」が気になる方も多い時期です。

鼻水が前に出るだけではなく、のどの奥へ流れていくと、

  • のどに何か張りつく感じがする
  • 何度も咳払いをしてしまう
  • 横になると咳が増える
  • 朝起きた直後に痰が絡む
  • のどの違和感がずっと続く

といった症状につながることがあります。

咳だけを見ていると「気管支の問題」と思われがちですが、実際には鼻から始まった咳も少なくありません。
呼吸器内科では、咳・痰・喘鳴だけでなく、鼻症状や生活環境も含めて原因を整理していきます。

4.梅雨でも感染症はなくなりません

「冬ではないから、感染症は少ない」と思われる方もいますが、咳や発熱を起こす感染症は一年を通してみられます。

国立健康危機管理研究機構の2026年第23週の全国データでは、急性呼吸器感染症全体の定点当たり報告数は減少していた一方で、新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は2週連続で増加していました。咽頭結膜熱も増加が続いています。

つまり、梅雨時の咳は「湿気のせい」「アレルギーのせい」と決めつけず、感染症も含めて考える必要があります。

特に、家族や職場で風邪症状が広がっている、発熱がある、急に強いだるさが出た場合は、早めにご相談ください。

こんな咳は、喘息・咳喘息のサインかもしれません

次のような症状がある場合は、喘息や咳喘息が隠れていることがあります。

  • 風邪をひくたびに咳だけ長引く
  • 咳が2週間以上続く
  • 夜間・明け方の咳が強い
  • 会話中、電話中、笑ったときに咳が出る
  • 冷たい空気やエアコンで咳き込む
  • 雨の日や天候の変化で咳が増える
  • 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする
  • 胸が重い、息を吐き切れない感じがある

喘息では、症状がない時期にも気道の炎症が続いていることがあります。咳を止めることだけでなく、気道の炎症をきちんと整えることが、再発や悪化を防ぐうえで大切です。

梅雨の咳対策:ご自宅でできること

1.寝室の環境を整える

咳や喘息症状は、夜間から明け方に悪化することがあります。
まず見直したいのは、長い時間を過ごす寝室です。

  • 寝具をこまめに乾かす
  • 枕カバーやシーツを定期的に洗う
  • カーペット・ぬいぐるみ・ソファ周辺のほこりをためない
  • エアコンのフィルターを確認する
  • 除湿を使い、室内に湿気をため込みすぎない

「掃除を頑張りすぎる」よりも、湿気とほこりをため続けないことが重要です。

2.冷房は我慢せず、“冷やしすぎない”

暑さを我慢すると、寝苦しさや体力低下につながります。
一方で、冷たい風が顔や胸元に直接当たり続けると、咳が出やすくなる方もいます。

エアコンは上手に使いながら、

  • 風向きを直接身体に当てない
  • 就寝時は薄い羽織りものを使う
  • 汗をかいた服のまま冷房に当たらない
  • 冷えた飲み物を一気に飲みすぎない

といった工夫をしてみましょう。

3.咳があるときほど、換気と咳エチケットを

梅雨は窓を閉めがちですが、室内の空気がこもりすぎないよう、雨が弱い時間帯などに短時間でも換気を行いましょう。

感染対策の基本は、手洗い、咳エチケット、換気です。風邪症状がある場合は、周囲への感染を広げないためにも、外出を控えることや、必要に応じたマスクの着用が大切です。

4.自己判断で吸入薬をやめない

喘息で吸入治療を受けている方は、「最近は苦しくないから」と自己判断で薬を中止しないことが大切です。

梅雨は環境の変化が大きく、症状がぶり返しやすい季節でもあります。
咳、夜間症状、発作止めの使用回数などに変化があれば、治療の見直しが必要なことがあります。

早めに呼吸器内科を受診してほしい症状

次のような場合は、様子を見すぎずにご相談ください。

  • 咳が2〜3週間以上続く
  • 息苦しい、胸が痛い、ゼーゼーする
  • 階段や少し歩いただけで息が上がる
  • 夜に眠れないほど咳が続く
  • 発熱や強い倦怠感が続く
  • 痰が増えた、黄色・緑色の痰が続く
  • 血が混じる痰が出た
  • 喘息治療中なのに、発作止めの使用が増えている
  • 高齢の方、妊娠中の方、心臓・肺の病気がある方の咳や発熱

そして、会話が苦しいほど息ができない、唇が紫色、意識がぼんやりする、急激な胸痛がある場合は、緊急性の高い状態も考えられます。救急要請を含め、速やかな対応をご検討ください。

梅雨の咳は、「季節のせい」で終わらせない

梅雨時の咳には、アレルギー、鼻炎、喘息、咳喘息、感染症など、さまざまな原因が重なっていることがあります。

特に大切なのは、
「咳が続いているけれど、熱がないから大丈夫」
「いつもの風邪だと思う」
と決めつけないことです。

咳は、肺や気管支からの小さなサインかもしれません。

雨の日も、呼吸が楽で、夜にしっかり眠れる毎日へ。
気になる咳、痰、ゼーゼー、息苦しさがある方は、お早めにご相談ください。☔🫁


やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
呼吸器内科では、長引く咳、喘息、咳喘息、気管支炎、肺炎、息切れ、睡眠時の呼吸に関するご相談などを承ります。

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞