🌸 「こどもを返して」──ある母の祈りから学ぶこと

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

今日は、お釈迦さまの時代に語り継がれる「あるお母さんの物語」を通して、
「死」と「癒し」について静かに考えてみたいと思います。

🌱 こどもを失った母の祈り

ひとりの母がいました。
愛するわが子を病で亡くし、深い悲しみに沈んでいました。

母は泣きながら人々にすがります。
「この子を生き返らせてください」
けれど、だれにもそれはできません。

ある人が言いました。
「お釈迦さまのもとへ行ってごらんなさい」

🪷 お釈迦さまの言葉

母はお釈迦さまにお願いしました。
「どうか、この子を返してください」

お釈迦さまは静かに答えます。
「よいでしょう。そのかわりに――
 いままで、ひとりも死者を出したことのない家から、けしの実をもらってきなさい。
 それを持ってきたら、この子を生き返らせましょう」

母は希望に胸をふくらませ、町へ走りました。
けれど、どの家を訪ねても、誰かが亡くなっています。

「父が亡くなりました」
「妻が先に旅立ちました」
「子を失いました」

母は、気づきます。
──死は、私だけに訪れた悲しみではないのだ、と。

🍃 「死」とともに生きるということ

母は子を失った悲しみのまま、しかしその悲しみの中に“真理”を見ました。
そして出家し、悲しみと共に生きる道を歩み始めたといいます。

このお話は「キサー・ゴータミー」という仏典に登場する物語です。

🌸 いま、身近な死と向き合う方へ

クリニックにも、ときおり
大切な人を亡くされたばかりの方が来られます。

「どうしてあの人だけが」
「もっと何かできたのでは」

そんな言葉が胸に浮かぶのは、
それだけ深く、真剣に愛してきた証です。

けれども、人はみな同じ道を歩みます。
悲しみを無理に手放さなくていい。
ただ、その悲しみの中に、他者の痛みを感じる心が育つ

それが、やがて「やさしさ」になります。

☀️ さいごに

医療の現場では、治すことができない悲しみと向き合う瞬間があります。
けれど、
「もう会えない」ことの中にも、確かに“つながり”が残ると感じます。

そのつながりを抱いて生きること──
それが、“喪失を生きる”ということなのかもしれません。

あなたの心が、少しでも静かに癒えていきますように。
そして、思い出がやさしく心を包みますように。

🕊️ いのちは、消えるのではなく、かたちを変えて、そばにいる。
そう信じられる夜が、いつか訪れますように。

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
カラダ取説®マスター・ジェネラル ← NEW✨
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞