ミュージカル『レベッカ』を観てきました

人は変わるのではなく、本来あるものが「開花」していく

先日、日比谷のシアタークリエでミュージカル『レベッカ』を観てきました。

重厚で美しい舞台、美術の陰影、豪奢な館の不穏な空気、そして物語を引っ張る圧倒的な歌声。観劇後もしばらく、あの世界観が頭から離れませんでした。

今回私が観た回は、

  • 「わたし」:朝月希和さん
  • マキシム・ド・ウィンター:海宝直人さん
  • ダンヴァース夫人:霧矢大夢さん

というキャストでした。

まず感じたのは、やはり歌の力です。

ミュージカルですから歌が上手いのは当然なのですが、『レベッカ』は単に「上手い歌を聴く作品」ではありませんでした。登場人物の迷い、過去、怒り、愛情、執着、恐怖が、歌によってそのまま客席に押し寄せてくるような感覚があります。

特に、静かな場面から一気に感情が爆発する瞬間は圧巻でした。

シアタークリエは、演者が本当に近い

シアタークリエの魅力は、何といっても劇場のコンパクトさだと思います。

大劇場の華やかさや壮大さとは違い、客席と舞台の距離が近い。役者さんの表情、目線、姿勢、呼吸の変化までが伝わってくるようです。

『レベッカ』のように、人の心の中にある不安や嫉妬、憧れや支配、愛と罪を描く作品では、この近さがとても効いていました。

少し視線をそらす。

一瞬、言葉を飲み込む。

笑っているのに、目だけは笑っていない。

そうした細かな演技が見えることで、物語の怖さや切なさがより深く伝わってきます。

「劇場が小さい」というより、役者さんの感情に近づける劇場という表現のほうが似合うかもしれません。

海宝直人さんのマキシム

海宝直人さん演じるマキシムは、単純に優しい男性でも、冷たい男性でもありませんでした。

どこか影があり、過去を抱え、簡単には人に本心を見せない。その複雑さが、歌声の中にも表情の中にもありました。

品があるのに危うい。

強そうに見えるのに、どこか壊れそうでもある。

マキシムという人物が抱えているものの大きさが、舞台が進むにつれて少しずつ見えてきます。

「人は見えている部分だけでは分からない」

そんなことを改めて感じさせられる存在でした。

霧矢大夢さんのダンヴァース夫人がすごい

そして霧矢大夢さんのダンヴァース夫人。

これは本当にすごかったです。

大声を出して威圧するわけではないのに、出てくるだけで舞台の空気が変わる。

静かで、整っていて、冷たい。

しかし、その静けさの奥にある執着や狂気のようなものが、じわじわと伝わってきます。

怖いのに目が離せない。

あの館そのものが意思を持ち、主人公を追い詰めているように感じるのですが、その中心にいるのがダンヴァース夫人でした。

「豪奢な館に眠る、愛と罪の衝撃」という言葉がまさにぴったりの存在感です。

一番心に残ったのは、「わたし」の成長

『レベッカ』というタイトルだけを見ると、物語の中心にいるのは「レベッカ」なのだと思うかもしれません。

確かに、舞台の上にいないにもかかわらず、レベッカの存在は非常に大きい。

館の中にも、人々の記憶の中にも、マキシムの人生の中にも、まるで今も生きているかのように存在しています。

しかし、今回観劇して私が最も印象に残ったのは、主人公である「わたし」の成長でした。

最初の「わたし」は、自信がありません。

自分がこの場所にいてよいのか。

マキシムの隣に立つ資格があるのか。

過去の誰かと比べられ、自分は足りないのではないか。

そんな不安を抱えながら、豪華でありながらどこか冷たい館に入っていきます。

周囲の期待や視線に揺れ、自分を見失いそうになる。

これは、舞台の中だけの話ではないように思います。

私たちも日常の中で、誰かと比べてしまうことがあります。

あの人のようになれない。

自分には何かが足りない。

もっと自信を持てたら。

もっと堂々としていたら。

もっと違う人生だったら。

そんなふうに考えてしまうことは、誰にでもあるのではないでしょうか。

人は「変わる」のではなく、「開花する」

パンフレットを読んでいて、特に心に残った言葉がありました。

「彼女は変わるんじゃなくて、本来持っているものが開花していくんだ」

この言葉に、非常に納得しました。

人は「変わらなければならない」と考えがちです。

もっと強くならなければ。

もっと自信を持たなければ。

もっと堂々としなければ。

もっと違う自分にならなければ。

しかし、本当に必要なのは、別人になることではないのかもしれません。

もともと自分の中にあった力。

まだ自分では気づいていない魅力。

傷ついた経験の奥に眠っている優しさ。

不安の中でも消えていない意志。

そうしたものが、出会いや経験、苦しみや決断を通じて、少しずつ表に現れてくる。

それが「変化」というより、開花なのだと思います。

10代でも、20代でも、50代でも開花できる

「開花」という言葉は、若い人だけのものではないと思います。

10代には10代の迷いがあります。

20代には20代の焦りがあります。

30代、40代、50代になって初めて見えてくる景色もあります。

昔は苦手だったことが、今なら少しできるようになる。

以前なら怖くて避けていたことに、少しだけ向き合える。

人に頼ることを覚える。

自分の弱さを認められる。

誰かと比べるよりも、自分の人生を大切にしたいと思える。

それもまた、人生の中で起きる開花なのだと思います。

花は、すべて同じ季節に咲くわけではありません。

早く咲く花もあります。

時間をかけて咲く花もあります。

だからこそ、自分だけが遅れているように感じる必要はないのだと思います。

舞台を観ることは、自分の人生を少し見つめ直すこと

ミュージカルや演劇の魅力は、歌や演技を楽しむことだけではありません。

登場人物の人生を通して、自分自身の人生を少し見つめ直せることにあるのではないでしょうか。

『レベッカ』を観ながら、私は「人は何歳からでも変われる」というよりも、

人は何歳からでも、自分の中にあるものを開花させることができる。

そんなことを感じました。

不安があってもいい。

迷ってもいい。

過去に傷ついたことがあってもいい。

それでも、自分の中にはまだ咲いていないものがある。

そう思えるだけで、少し前を向ける気がします。

まとめ

ミュージカル『レベッカ』は、豪華な舞台美術、迫力ある歌唱、ミステリアスな物語が魅力の作品です。

しかし私にとっては、それ以上に、主人公「わたし」が自分自身を見つけていく物語として心に残りました。

人は、誰か別の人になるために生きるのではない。

自分の中にあるものを、少しずつ咲かせていくために生きているのかもしれません。

そんなことを考えながら、観劇後の日比谷を歩きました。

とても濃密で、心に残る時間でした。

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投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
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① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
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環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞