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好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、そして喘息との関連について

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好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、そして喘息との関連について

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

今回は、「好酸球性肺炎」と「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)」、そしてそれらと「喘息」との関連について詳しくお話しします。

これらの疾患は症状が似ていることがあり、患者さんにとって理解を深めることが重要です。

1. 好酸球性肺炎とは?

好酸球性肺炎は、肺に好酸球という特定の白血球が過剰に集まり、炎症を引き起こす病気です。

急性に発症することが多く、発熱、呼吸困難、乾いた咳が主な症状です。

血液検査で好酸球の増加や画像診断で肺に特徴的な影を確認することで診断されます。

治療のポイント

  • ステロイドの内服が治療の基本。
  • 早期の治療で症状は速やかに改善します。
  • 長期にわたり治療が必要な場合もあります。

2. アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)とは?

ABPAは、アスペルギルスというカビに対するアレルギー反応が気管支や肺で起こる疾患です。

特に喘息や嚢胞性線維症の患者さんに発症しやすく、免疫反応が気道内で炎症や粘液の蓄積を引き起こします。

これにより気道が詰まり、慢性的な気管支拡張症を引き起こすこともあります。

治療のポイント

  • ステロイドの内服が治療の基本です。
  • 場合によっては抗真菌薬を併用することもあります。
  • 定期的なフォローアップが重要です。

3. 喘息との関連

喘息は気道が慢性的に炎症を起こし、狭窄しやすくなる病気で、咳、喘鳴、呼吸困難が主な症状です。

好酸球性肺炎やABPAは、喘息を持つ患者さんに合併することがあり、喘息の症状を悪化させる可能性があります。

特にABPAは、喘息患者に発症しやすく、アスペルギルスに対するアレルギー反応が気道の炎症を悪化させます。

一方で、好酸球性肺炎は喘息とは異なる病態ですが、喘息患者が好酸球の増加を伴う炎症を起こすことは稀ではありません。

これらの疾患が合併することで、呼吸機能がさらに低下し、治療が複雑化することがあります。

4. 好酸球性肺炎とABPAの違い

好酸球性肺炎とABPAはどちらも肺に炎症を引き起こしますが、原因と病態は異なります。

好酸球性肺炎は、好酸球の肺組織への蓄積による炎症であり、全身的な免疫反応が特徴です。

一方、ABPAはアスペルギルスによるアレルギー反応で、主に気道を中心に影響が出ます。

5. 好酸球性肺炎とABPAの合併はあるのか?

好酸球性肺炎とABPAが合併することは稀ですが、可能性は否定できません。

両方の疾患は免疫系が関与する炎症性疾患であるため、特定の条件下で同時に発症することがあります。

合併症が起こると、診断や治療がさらに複雑になります。

例えば、好酸球性肺炎による全身的な炎症にABPAが加わると、気道内のアレルギー反応が悪化し、呼吸困難や咳が増加することがあります。

治療はステロイド療法が中心ですが、ABPAの場合には抗真菌薬の併用も検討されます。

適切な診断と治療の計画を立てるために、医師による詳細な評価が必要です。

6. 早期発見と適切な治療が重要

これらの疾患は早期に診断し、適切に治療することで進行を抑えることができます。

喘息を持つ患者さんがいつもと異なる症状や喘息治療だけでは改善しない症状を感じた場合、早めに医師に相談してください。

当クリニックでは、患者さんの症状に合わせた適切な治療を提供しています。

呼吸器に関する疑問や不安がある場合は、ぜひご相談ください。

皆さんの健康な呼吸をサポートし、安心して日常を過ごせるようお手伝いします。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。