🧠第5回「腸のカビが肺のアレルギーを悪化させる!? 炎症の連鎖メカニズム」

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です🌿
前回は「カンジダ菌と甘いものの関係」についてお話しました。
今回は、その続きとして、
腸で増えた真菌が、なぜ肺に影響するのか?
科学的にわかってきた“炎症の連鎖”の流れをご紹介します。
🦠腸の真菌が増えると、なにが起きる?
腸内でカンジダ菌などの真菌が過剰に増殖すると、以下のようなことが起きます:
- 腸のバリア機能が壊れる(リーキーガット)
- 炎症性の“代謝物”がつくられる
- その成分が腸から血液中に出て、全身に拡散
- 遠く離れた肺の免疫系にまで影響を与える
この“腸→肺”の信号伝達が、喘息やアレルギー症状の悪化に関係していると考えられています。
🔥カンジダ菌が出す「炎症スイッチ」
カンジダ菌が増えると、体内で以下のような物質が増加します:
- プロスタグランジンE2(PGE2)
- 12,13-diHOME
- その他の炎症を高める物質
これらは、体にとって「今、敵がいるぞ!戦え!」というサイン⚡️
免疫細胞が反応しやすい状態(=過敏な状態)になります。
🫁肺の免疫はどう反応するの?
肺には「M2型マクロファージ」や「ILC2(自然リンパ球)」など、アレルギーに関わる免疫細胞がいます。
PGE2などの炎症物質が血液を通って肺に届くと…
- M2型マクロファージが活性化
- ILC2が刺激され、アレルギー反応が起こりやすくなる
つまり、腸のカンジダ菌が、肺の“過剰反応体質”をつくってしまうのです。
📡「カビが飛ぶ」わけではなく、「炎症が伝わる」
重要なのは、
「カンジダ菌そのものが肺に届くわけではない」ということ。
カンジダ菌が腸で増えて、
→ 炎症性代謝物を出して
→ 血流を介して肺に「炎症信号」を送り
→ 肺でアレルギーが悪化する
という、あくまで間接的な“遠隔影響”なのです🧩
📊実際の研究から
- 腸内カンジダ菌が増えたマウスでは、喘息症状が悪化
- カンジダ菌を抑えると、喘息症状が改善した
- PGE2の働きをブロックすると、肺の炎症も抑えられた
…という報告が複数出ています。
🧪まとめ:腸のカビ→全身炎症→肺アレルギーの悪化
ステップ | 起こること |
---|---|
甘いものを多く摂取 | カンジダ菌が腸で増殖 |
腸内環境が悪化 | 炎症性代謝物が放出される |
血流にのる | 肺に届く/免疫細胞を刺激 |
肺のアレルギー悪化 | 喘息症状がコントロールしにくくなる |
📝次回予告
第6回では…
📌 「“お菓子好きの人に真菌アレルギーが多い”という傾向は本当?」
という臨床の肌感覚について、改めて整理しながら科学的に検証していきます🔍
📣カビは吸い込むだけじゃなく、腸の中にもいる。
その存在が、私たちのアレルギー体質を裏から支えているかもしれない――
そんな視点で、喘息の新しい一面を知っていただけたらうれしいです😊
投稿者プロフィール

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資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
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