古い油はなぜ悪いのか?~繰り返し使われた油が健康に与える影響~
こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
1. 酸化による有害物質の生成
油の酸化とは?
油は酸素・熱・光・水分などの影響を受けると分解が進みます。
これを「酸化」と呼びます。家庭でも、一度使った油をそのまま放置したり、長時間加熱したりすることで酸化が進んでいきます。
酸化すると何が起こる?
- 過酸化脂質などの有害物質が生成され、健康に大きなリスクを及ぼすと考えられています。
- 酸化が進むと、油が“嫌なニオイ”を放つようになり、味も劣化します。
健康への影響
- 細胞障害: 過酸化脂質は細胞膜を傷つけ、老化の促進や各種疾患を引き起こす原因になる可能性があります。
- 動脈硬化のリスク: 酸化された油はLDL(悪玉)コレステロールの酸化を促し、動脈硬化を進行させる要因となります。
- 胃腸への負担: 酸化物質は消化管を刺激し、腹部膨満感や胃もたれ、下痢などを起こしやすくするとも言われています。
2. トランス脂肪酸の増加
繰り返し加熱でトランス化が進む
油を高温で繰り返し加熱する過程で、トランス脂肪酸が生成されることがあります。
トランス脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らす働きがあるため、心臓病や動脈硬化などのリスクが高まると指摘されています。
トランス脂肪酸の健康リスク
- 心血管疾患: 血管内皮機能の低下、動脈硬化の進行
- 肥満・メタボリックシンドローム: 脂質代謝の乱れ
- 慢性炎症: 長期的な摂取が全身性の炎症反応を高める可能性
3. 味・香りの劣化
油が古くなると、味や香りが明らかに低下します。
これは単なる味覚の問題だけでなく、酸化が進んだ状態を示すサインともいえます。
- ニオイ: 独特の酸化臭が出る
- 風味: えぐみや苦みが増す
- 見た目: 油が濁ったり色が濃くなったりする
「香り」や「色の変化」は、酸化や劣化がかなり進行している可能性が高いので、注意が必要です。
4. 免疫力への影響
酸化した油や過酸化脂質が体内に入ることで、免疫バランスが乱れる可能性があります。
慢性的な炎症反応が高まりやすく、結果として
といった問題につながることも考えられます。
5. 古い油を避けるためのポイント
- 使い回しを最小限にする
一度使った油は劣化が進んでいる可能性があります。揚げ物で使った油は早めに処分するか、可能な限り新しい油と混ぜないようにしましょう。 - 保存方法を工夫する
光・空気・熱によって酸化は促進されます。冷暗所に保管し、蓋をしっかり閉めておくことが大切です。 - 新鮮な油を選ぶ
開封後は早めに使い切ることを心がけ、古い油との混ぜ合わせを避けましょう。小さめのボトルを購入して、鮮度を保ちやすくするのも一つの方法です。 - 調理法を工夫する
揚げ物や炒め物など、高温で長時間加熱するレシピはなるべく減らし、蒸し料理や煮込み料理などの油を控えめにできる方法を取り入れると酸化リスクを下げられます。
繰り返し加熱や長期保管で劣化が進んだ油は、できるだけ使用を避け、新鮮な油を適切な量で使うことが大切です
ちょっとした工夫と心掛けで、日々の食生活の質は大きく改善されます。
ぜひ、ご自身やご家族の健康のために、油の使い方や保存方法を今一度見直してみてください。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口 裕礼
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