長年良くならない症状をお持ちの方へ:「お菓子」をやめてみませんか?
こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
当院には、ほかの大学病院を含む複数の医療機関を受診されながら、薬で症状をしのいでいるものの、なかなか改善せず一進一退を繰り返している患者様がいらっしゃいます。
「これ以上何もできない」と感じてしまう方も少なくありませんが、
まずは食生活の中でも“お菓子”を見直すことを提案させていただきます
お菓子を好きな方には少し酷な話かもしれませんが、長年良くならない症状をお持ちの方ほど、思い切ってお菓子をやめてみる・減らしてみることで症状改善のきっかけになる可能性があります。
お菓子の健康への影響
以下では、お菓子に含まれる代表的な成分・要素と、その過剰摂取がもたらす可能性のある悪影響について、科学的根拠を交えながらご紹介します。
- 糖分(砂糖・ブドウ糖・果糖など)
- お菓子には高濃度の糖分が含まれており、血糖値を急激に上昇させる原因となります。
- 血糖値の乱高下はインスリン抵抗性の上昇や2型糖尿病のリスク増加、脂肪肝などへつながることが知られています。
- 科学的根拠: WHO(世界保健機関)は2015年に「成人・小児の1日の遊離糖(加糖)の摂取量は総エネルギーの5%以下に抑えること」を推奨しています。
- 脂質(トランス脂肪酸・飽和脂肪酸など)
- スナック菓子や市販の焼き菓子、揚げ菓子にはトランス脂肪酸や飽和脂肪酸が多く含まれる場合があります。
- トランス脂肪酸の摂取は、心血管疾患リスクの上昇やLDL(悪玉)コレステロールの増加につながる可能性があります。
- 科学的根拠: AHA(アメリカ心臓協会)は「トランス脂肪酸の摂取を極力避けること」「飽和脂肪酸を1日の総エネルギー摂取量の5~6%未満に抑えること」を推奨しています。
- 添加物(人工着色料・保存料など)
- 一部の人工着色料は、子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状を悪化させる可能性があるとの報告もあります。
- 保存料(亜硝酸塩など)は、特定条件下で発がん性物質に変化するリスクがあると指摘されています。
- 甘味料(人工甘味料など)
- アスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料はカロリーを抑えられる一方、腸内細菌叢(腸内フローラ)に影響し、インスリン抵抗性や食欲に影響を与える可能性が示唆されています。
- 塩分
- スナック菓子には高濃度の塩分が含まれていることが多く、高血圧の原因となり、心疾患や脳卒中のリスクを高めます。
- カロリー密度(エネルギー密度)が高い
- お菓子は少量でもカロリーが高く、過剰摂取しやすいため体重増加につながりやすいです。
- 肥満は糖尿病や高血圧、脂質異常症など生活習慣病のリスクを高める要因のひとつです。
- 栄養の不均衡
- お菓子には、ビタミン・ミネラル・食物繊維など、身体の機能を保つために必要な栄養素がほとんど含まれていません。
- お菓子が多い食生活では、結果的に栄養バランスが乱れ、免疫力の低下や体調不良につながることがあります。
お菓子をやめる・減らすメリット
- 症状改善の可能性: 長年変わらなかった体調が、糖分や添加物などの負担を減らすことで好転するケースが見られます。
- 薬の負担を軽減: 体質や症状が改善し、不要な薬剤を減らせる可能性があります。
- 生活習慣全体の見直し: お菓子を控えることをきっかけに、食事全体の栄養バランスや生活リズム、運動習慣を整えるようになる方も少なくありません。
まずはできる範囲で始めてみましょう
お菓子のやめ方
- 段階的にやめる・減らす: いきなりゼロにするのが難しい場合は、まずは1日の摂取量や頻度を減らすところから始めてみてください。
- 置き換え: おやつにナッツや果物を取り入れてみるなど、質の良い食品に置き換える方法も有効です。
- 周囲の理解を得る: 家族や職場の仲間など、周りの方の協力があると長続きしやすくなります。
私たち医療従事者は、患者様が少しでも健康を取り戻し、日々の生活の質を上げられるよう全力でサポートいたします。
長年良くならない症状にお悩みの方は、まずは「お菓子」を見直してみることをぜひご検討ください
症状の変化やご不安な点がありましたら、いつでも遠慮なくご相談ください。
些細なことでも構いません。
一緒により良い方向へ進む方法を模索してまいりましょう。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口 裕礼
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