🚢【講演報告】Asthma Web Live Symposiumを無事に終えました

~抗加齢医学と吸入指導で“呼吸の未来”をひらく~

みなさん、こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 院長の山口裕礼です。

本日、2025年8月6日にオンライン開催された 「Asthma Web Live Symposium ~未来の吸入薬治療を考える~」 にて、私と当院薬剤師の佐々木浩昭が登壇いたしました。

全国の医療従事者の先生方にご参加いただき、おかげさまで大盛況のうちに終了することができました。

今日はそのご報告と、当日の内容を視聴後の復習用に詳しくまとめます。

🌿 私の講演

「抗加齢医学から読み解く喘息管理の新戦略 ~呼吸の若返りを目指して~」

なぜ今“抗加齢”と“喘息”なのか?

高齢者喘息は年々増加傾向にあり、若い頃からの喘息とは病態も課題も異なります。

特に注目すべきは「炎症性老化(inflammaging)」。

これは加齢とともにIL-6・TNF-α・CRPといった炎症マーカーが持続的に高まる現象で、免疫老化と深く関わっています。

この状態は気道にも影響を及ぼし、喘息を悪化させる温床となります。

高齢者喘息の特徴

  • 遅く発症するタイプが多い
  • 非好酸球性・好中球優位の炎症が増える
  • ステロイドが効きにくいケースが多い

抗加齢的アプローチ

最新研究では、腸内環境と肺の健康をつなぐ「腸–肺軸(Gut–lung axis)」が注目されています。

腸内細菌が作る短鎖脂肪酸(SCFA)は免疫バランスを整え、好酸球性炎症を抑える可能性があります。

高食物繊維の食事、適度な運動、良質な睡眠、ストレス管理…

こうした生活習慣こそが、喘息コントロールの土台になります。

治療戦略の見直し

薬物治療でも、高齢者では「吸入力の測定(PIF)」に基づいたデバイス選びが欠かせません。

GINA2025でも、吸入器の最適化と技術教育の重要性が強調されています。

まとめ

•喘息と老化は“炎症”でつながる

•吸入治療+抗加齢戦略=未来の標準

•呼吸を整える=人生を整える

💨 佐々木薬剤師の講演

「『できた!』を実感 ~吸入可能な患者を見極め、満足度を叶える吸入指導~」

今回の佐々木先生のパートは、吸入の実技指導が非常にわかりやすい内容でした。

実際の器具を用いた説明や、カプセル音の有無による吸入可否の判断方法、よくある失敗パターンへの具体的な対応策など、すぐに現場で役立つ内容が満載でした。

吸入指導の3つのポイント

  1. ボタン操作:しっかり奥まで押す
  2. カプセル音の確認:吸入力・姿勢・咥え方が正しいか判断
  3. 残量確認:残薬があれば再吸入

ブリーズヘラー®の特徴

カプセル型DPIは、正しいカプセル装填・咥え方・吸入力が習得の鍵。
当院のデータでは、初回指導でほぼ全員吸入が可能である。

困難例への対応

  • むせる:事前のうがい・飲水で対応
  • 息漏れ:咥え方を再チェック
  • 準備困難:家族の協力を得る

🔑 講演を通じてお伝えしたこと

  • 高齢者・難治性喘息では、炎症性老化と免疫老化を意識した診療が必要
  • デバイスは“患者さんに合ったもの”を選ぶ
  • 「できた!」を実感できる吸入指導は、アドヒアランス向上に直結
  • 薬物療法と生活習慣改善のハイブリッド戦略で、呼吸の若返りを目指す

🙏 感謝の気持ち

今回の貴重な登壇の機会をいただきました ノバルティスファーマ株式会社様 に心より感謝申し上げます。

また、今回の日本全国への配信技術を力強く支えてくださったスズケン様 にも、この場を借りて深くお礼申し上げます。

今回のシンポジウムは、私たちにとっても日々の診療を見直す貴重な機会となりました。

ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
これからも「年齢を重ねても、深く気持ちよく呼吸できる人生」を支える診療を続けてまいります。

院長 山口 裕礼
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
からだ整えラボ

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞