医療は人間の幸せのためにある ✨〜養老孟司さん × 高野利実医師の対談から〜

医療の進歩は人を幸せにしてきたのか?
朝日新聞に掲載された、養老孟司さんと高野利実医師の対談を拝読しました。
医療は確かに進歩し、命を救えるようになりました。
しかし、高野医師が問いかけていたように「その進歩が、人を本当に幸せにしてきたのか?」という視点は、私自身も日々の診療の中で感じるものです。
医療は万能ではありません。
そして「もっと治せる」「もっと長く生きられる」という期待が膨らむと、不安や不満につながってしまうこともあるのです。
足るを知る:医療の不確実性を受け入れる
高野医師は「医療には不確実性がある」と強調しています。
病気は予想どおりに進まないことがあり、治療も常に成功するとは限りません。
👉 だからこそ大切なのが「足るを知る」という姿勢。
「これで十分だ」と受け入れられる気持ちが、患者さんの心を軽くし、生き方を前向きにしていくのだと私も強く共感します。
当院に通ってくださる患者さんには、この感覚を理解してくださる方が多いと願っています。
居心地を探すということ
養老孟司さんは「自分が居心地のよい状態を探すこと」の重要性を語られています。
それは場所に限られた話ではありません。
病院であっても、自宅であっても、あるいは人との関わりの中であっても、「ここにいると落ち着ける」と感じられることこそが、人を支える力になるのです。
当院も、診察室や待合室を「居心地のよい場所」にしたいと考えています。
患者さんが安心して自分の状態を話し、受け止められる場をつくることが、私たちの役割です。
エビデンスだけでは計り知れない
現代医療は「エビデンス(科学的根拠)」を重視します。
もちろん不可欠ですが、それだけでは人の幸せを測ることはできません。
人にはそれぞれの人生、価値観、家族との関係があります。
数字や統計を超えた「人間そのもの」を見る医療――それが本当に必要だと感じます。
人間に基づく医療
高野医師が提唱する HBM(Human-Based Medicine)。
これは「人間に基づく医療」という考え方です。
統計だけでなく、患者さんの思い、家族の願い、そして本人が心から感じる居心地を重視する。
まさに当院が大切にしている医療の姿勢そのものです。
医療は人間の幸せのためにある
今回の記事を通じて改めて確認できたのは、医療の本質は「延命」ではなく「幸せのためにある」ということです。
病気を治すことだけでなく、
👉 「その人らしく生きること」
👉 「その日を大切に生きること」
これを支えるのが、医療の使命だと私は考えています。
当院を訪れてくださる患者さんには、すでにこの思いを共有していただいていると信じていますし、これからもそのことを願いながら診療を続けてまいります。
✍️ やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口裕礼
投稿者プロフィール

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からだ整えラボ
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)