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喘息とマイコプラズマ感染症の関連性と治療について

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喘息とマイコプラズマ感染症の関連性について

こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの院長、山口裕礼です。

今回は、喘息をお持ちの方々に向けて、最近流行しているマイコプラズマ感染症と喘息の関連性についてお話しします。

喘息患者さんがマイコプラズマに感染した場合のリスクや、マイコプラズマ感染症が喘息を引き起こす可能性について、正しい知識を持っていただくことが大切です。

喘息患者がマイコプラズマに感染するとどうなるか?

喘息をお持ちの方がマイコプラズマに感染すると、通常よりも強い咳や呼吸困難が起こる可能性があります。

マイコプラズマ感染症自体が呼吸器に負担をかけるため、喘息の症状が悪化することがよくあります。

特に以下の点に注意が必要です。

  • 咳の悪化: マイコプラズマ感染症では、乾いた咳が特徴ですが、この咳が喘息の症状をさらに悪化させることがあります。喘息発作が誘発されるリスクが高まります。
  • 気道の炎症: マイコプラズマ感染症は、気道に炎症を引き起こします。喘息患者では、すでに気道が敏感な状態にあるため、さらなる炎症が喘息の悪化を引き起こす可能性があります。
  • 治療の遅延: 喘息の治療とマイコプラズマ感染症の治療を同時に行う必要があるため、適切な治療を受けることが重要です。感染が疑われる場合は、早めに受診し、医師と相談することをお勧めします。

マイコプラズマ感染症が喘息を引き起こす可能性は?

マイコプラズマ感染症が喘息を引き起こすかどうかについては、以下の点を理解しておくことが大切です。

  • 既存のリスク要因: マイコプラズマ感染症が直接的に喘息を引き起こすことは少ないですが、もともと喘息になりやすい体質を持っている人が感染すると、喘息を発症する引き金になることがあります。
  • 一時的な症状: マイコプラズマ感染症による気道の炎症が一時的に喘息様の症状を引き起こすことがありますが、これは感染が治癒することで軽減されることが多いです。
  • 早期発見と治療: 感染による気道の過敏性が続くと、喘息としての症状が定着するリスクがあります。そのため、早期にマイコプラズマ感染症を診断し、適切な治療を受けることが重要です。

治療について

喘息をお持ちの方がマイコプラズマ感染症に感染した場合、症状の悪化を防ぐためには、適切な治療が非常に重要です。

ここでは、喘息患者さんがマイコプラズマ感染症にかかった場合の治療について説明します。

1. 喘息のコントロール

マイコプラズマ感染症にかかった場合、喘息のコントロールが最優先です。以下のポイントに注意してください。

  • 既存の喘息治療を継続する: 日頃から使用している吸入薬や内服薬を継続して使用し、症状が悪化しないように努めましょう。特に、ステロイド吸入薬や長時間作用型の気管支拡張薬は、定期的に使用することで気道の炎症を抑え、喘息発作のリスクを軽減できます。
  • ピークフローメーターの使用: 家庭でピークフローメーターを使って、呼吸機能を定期的にチェックすることをお勧めします。数値が低下している場合は、早めに受診し、医師の指導を仰いでください。

2. マイコプラズマ感染症の治療

マイコプラズマ感染症に対する治療は、喘息の管理と併せて行う必要があります。以下の治療法が一般的です。

  • 抗生物質の使用: マイコプラズマは細菌による感染症ですので、適切な抗生物質が処方されます。マクロライド系(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど)やニューキノロン系の抗生物質が効果的とされています。医師の指示に従って、処方された薬を規定の期間しっかりと服用してください。
  • 症状緩和のための治療: 咳やのどの痛みなど、マイコプラズマ感染症の症状を和らげるための対症療法も併用されることがあります。咳止めや去痰薬などが処方されることがありますが、これらは症状の緩和を目的としています。

3. 喘息とマイコプラズマの治療の組み合わせ

喘息患者がマイコプラズマ感染症にかかると、通常の喘息治療と感染症治療の両方を並行して行う必要があります。

以下の点に留意してください。

  • 医師との密な連絡: 症状の変化や薬の副作用が現れた場合、速やかに医師に報告し、治療方針を相談してください。
  • 薬の相互作用に注意: 複数の薬を同時に使用する場合、薬同士の相互作用に注意が必要です。特に、喘息治療薬と抗生物質の併用に際しては、医師や薬剤師に確認することが重要です。

4. 予防接種と予防策

喘息患者さんにとって、感染症を予防することは特に重要です。

  • インフルエンザワクチン: インフルエンザも喘息を悪化させる可能性があるため、毎年インフルエンザワクチンを接種することをお勧めします。
  • 肺炎球菌ワクチン: 適応があれば、肺炎球菌ワクチンも有効です。肺炎球菌感染症は、重症化すると肺炎や敗血症などを引き起こすリスクがあります。特に、喘息患者は気道が弱く、重症化しやすいため、予防接種が推奨される場合があります。
  • RSウイルスワクチン: 近年、RSウイルスワクチンが開発され、特に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している方に対する効果が期待されています。喘息患者にとっても、重症化を防ぐために有効なワクチンとされています。
  • 日常生活での予防策: 風邪や感染症の流行時期には、手洗いやマスクの着用を徹底し、外出後はうがいをするなど、感染予防に努めましょう。

まとめ

喘息をお持ちの方がマイコプラズマ感染症に感染すると、症状が悪化するリスクがありますが、適切な治療と予防策を取ることで、そのリスクを最小限に抑えることができます。

当院では、喘息とマイコプラズマ感染症の両方に対応した診療を行っておりますので、何かご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口裕礼


投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。