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博多で開催された重症喘息講演会への参加報告

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博多で開催された重症喘息講演会への参加報告

2024年11月10日、博多で開催された「Mepolizumab Severe Asthma National Conference」に参加しました。

主催者であるグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)には、この貴重な機会を提供していただいたことに深く感謝いたします。

本講演会では、重症喘息における最新の研究と治療戦略が専門家によって共有され、臨床現場においても役立つ知見を得ることができました。

基調スピーチ「バイオ製剤が切り拓く新たな目標」

最初に行われた坂上拓郎先生による基調スピーチ「バイオ製剤が切り拓く重症喘息治療の新たな目標」では、具体的なバイオ製剤としてメポリズマブがどのようなメカニズムで効果を発揮するかについて詳しい説明がありました。

私自身の診療経験では、ステロイド治療で改善が見られない患者において、メポリズマブのようなバイオ製剤の使用を検討することが多く、その有用性が再確認されました。

「好酸球の病態理解」における新しい知見

宮田純先生の講演「one airway, one diseaseを体現する好酸球の病態理解」では、好酸球がIL-5シグナルを介して活性化されることや、上気道と下気道との関係について述べられました。

好酸球と気道上皮細胞との相互作用が、慢性的な気道炎症の持続に寄与するという研究結果は、私が日頃診療で見ている難治性の喘息患者への理解を深めました。

これにより、今後は好酸球を標的とした治療をより積極的に考えるべきと感じました。

新規治療戦略と臨床応用

丸毛聡先生の「鼻疾患合併重症喘息の新規治療戦略」では、鼻疾患が喘息の重症度に与える影響や、その治療戦略についての新しい視点が提示されました。

私のクリニックでも、鼻疾患と喘息を併発する患者が多く、丸毛先生の講演から学んだ知識は臨床応用に役立つと感じました。

特に、デュピルマブとメポリズマブの使い分けの私見は今後の治療方針に影響を与えるものでした。

リアルワールドデータによる有効性の確認

最後に、長瀬洋之先生の「リアルワールドにおけるメポリズマブ〜J-Real-MepoとJGL Remission〜」は、臨床の場でのデータを基にした講演でした。

メポリズマブが実際の現場でどのように患者のQOLを向上させるかが明示され、私の患者治療においても導入する価値があると再認識しました。

治療結果のエビデンスと使用実感を交えて説明されたため、実際の使用感が非常に具体的に理解できました。

今後の展望と感謝

本講演会で得た知識は、私の日々の診療に確実に活かされることでしょう。

喘息治療の最前線に立つ医師として、患者さんのQOL向上を目指し、メポリズマブのような先進的治療を適切に活用していきたいと考えています。

改めて、このような貴重な学びの場を提供してくださったGSKに感謝いたします。

今後も研究や講演を通じて最新の知見を吸収し、患者さんに最善の医療を提供していく所存です。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

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投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。