🫁 肺がんはなぜ遺伝子変異で起こるのか?

〜乳がんとの違いと予防の考え方〜
みなさん、こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
先日、「肺がん診療の地域連携を深める会」 に出席してきました。
神奈川県立がんセンターの近藤先生(呼吸器内科)、村上先生(呼吸器内科)をはじめ、多くの先生方と久しぶりに顔を合わせ、とても充実した時間となりました。
🔎 非小細胞肺がんと遺伝子変異
講演の中で話題になったのは、非小細胞肺がんの患者さんの約半数に遺伝子変異があるという事実です。
この遺伝子変異を標的にして効果を発揮する「分子標的薬」が次々と登場し、治療の選択肢は広がっています。
しかし私はここで、あえて次の質問をしました。
❓ 私の質問:「遺伝子変異はいつ起こるのか?」
私は登壇された先生方にこう伺いました。
「自分の患者さんをがんにさせないために、遺伝子変異は生まれつきあるのか?
それとも途中で起こるとしたら、いつから起きるのでしょうか?」
💡 回答のポイント
- 生まれつき(先天的)の変異:乳がんや大腸がんでは、親から受け継ぐ「遺伝性腫瘍」が一部存在します。
- 途中から(後天的)の変異:肺がんの場合はほとんどがこちらで、喫煙・大気汚染・加齢・酸化ストレスなどが要因となり、人生の中で少しずつDNAに傷が蓄積していきます。
👉 つまり、非小細胞肺がんの遺伝子変異は多くが「後天的に起こるもの」 です。
❓ さらに投げかけた質問:「乳がんと肺がんの違い」
続けて私はこう質問しました。
「乳がんではアンジェリーナ・ジョリーさんのように、遺伝子変異が分かれば予防的に乳房や卵巣を切除する選択肢があります。
でも肺の場合は臓器を切るわけにいきませんよね?」
💡 回答のポイント
- 乳がんや卵巣がん:生まれつきの遺伝子変異(BRCA1/2など)を持つ場合、予防的切除が選択肢になる。
- しかし乳腺であっても、予防的切除は大きな決断であり、現実的に難しいケースも少なくありません。
- 肺がん:後天的変異がほとんどであり、呼吸に必須の臓器であるため、予防的切除は事実上不可能。
- だからこそ、肺がんの予防は生活習慣(禁煙・食生活・環境因子のコントロール)が最優先となります。
🌱 患者さんへのメッセージ
この講演で改めて感じたのは、がんの治療はもちろん大切ですが、もっと大切なのは「がんにならない体づくり」 だということです。
- 禁煙 🚭
- バランスの良い食事 🍎
- 適度な運動 🚶♀️
- 良質な睡眠 😴
- ストレスケア 🌿
これらこそが、遺伝子変異を減らし、がんのリスクを下げる唯一の「現実的な予防策」といえるでしょう。
✨ まとめ
- 非小細胞肺がんの半分は遺伝子変異を持つ
- その多くは「後天的に起こる変異」
- 乳がんと違って肺は予防的に切除できない(乳腺でも現実的に難しいケースあり)
- だからこそ 生活習慣の改善が最大の予防
投稿者プロフィール

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からだ整えラボ
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
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