『シャイニングな女たち』は「女性だけの物語」ではない

――“分かる/分からない”の差は、性別より「感じ方の特性」かもしれない

こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック院長の
山口裕礼(やまぐち ひろみち)です。

PARCO劇場で観劇した舞台
『シャイニングな女たち』(作・演出:蓬莱竜太)について、
観劇後の感想として特に目立ったのが、次の声でした。

「女性の気持ちがよく分かっている」
「これは“女性なら分かる”話だと思った」

確かにこの作品には、
日常の中で言語化されにくい“息苦しさ”が、驚くほど精密に描かれています。

ただ、ここで大事にしたい前提があります。

⚠️ 前提:「女性」「男性」で単純に分けないために

「女性脳」「男性脳」という言い方は分かりやすい反面、
人を二分してしまう危うさがあります。

実際には、感じ方・考え方には

  • 性別だけでは説明できない部分が多く
  • 個人差の方がはるかに大きい
  • 育った環境、文化、経験でも大きく変わる

というのが現実です。

なのでこの記事では、
性別の優劣や決めつけではなく、
“感じ方の特性(傾向)”として書きます。

⚠️【注意】この先はネタバレを含みます

ここから先、物語の核心に触れる記述が入ります。

まっさらな状態で観たい方は、観劇後にまたお会いしましょう🙇‍♂️

🌫️ なぜ「わかりすぎる」と感じる人が多かったのか

この作品が描くのは、たとえば――

  • 言葉にならない空気の圧
  • ちょっとした沈黙の意味
  • 悪意がなくても生まれる摩擦
  • “自分が我慢すれば丸く収まる”という構造
  • そして、そこに巻き込まれていく疲労感

こうしたものに強く反応する人は、
一般に 「関係性」や「文脈」 を敏感に拾う傾向があります。

そして、社会全体としては
その傾向を持つ人が「女性に多い」と言われることがある。
(※ただし例外は無数にあります)

ここまでが、いわゆる「共感が起きやすい理由」だと思います。

🧩 ただし、これは「女性だけの問題」ではない

ここが一番伝えたいところです。

『シャイニングな女たち』が描いている苦しさは、
性別ではなく、

環境に“過剰適応”してしまう人間の構造

に近い。

  • 周囲の期待を優先しすぎる
  • 正解を外さないように振る舞う
  • 失敗より“嫌われない”を選ぶ
  • 自分の感覚を後回しにする

こうした状態は、性別を問わず起こります。

たまたまそれが
「女性として育つ過程」や「役割期待」と結びつきやすい社会では、
女性側に負担が偏って見えやすい。
でも本質は、もっと広い。

🌐 ネット社会と同調圧力が“感じ方の違い”を増幅する

現代は、同調圧力が可視化されやすい時代です。

  • いいね
  • 評判
  • 空気
  • 炎上
  • 「叩かれる」ことへの恐怖

この環境では、
“周囲の反応を先に読める人”ほど疲弊しやすい。

そして疲弊が続くと、
「自分の人生」よりも「他人の期待」に合わせた人生を生き始める。

作品が突きつけてくるのは、そこでした。

🌏 終盤の震災が示すもの:「明日」は保証されない

作中で震災に触れられることで、
突然、世界の地面が抜けたような感覚になります。

・評価
・空気
・役割
・序列

それらが一瞬で崩れ得る。

明日が保証されないのに、
私たちは今日も「嫌われない努力」に追われる。

この矛盾を、作品は静かに突きつけます。

🌟 結論:「分かる/分からない」の差は、“性別”より“特性”かもしれない

『シャイニングな女たち』は、
「女性の気持ちが分かる作品」でもあります。

ただ同時に、

人間が社会に適応しすぎて、
自分の感覚を見失っていく物語

でもある。

だから、女性が「わかりすぎる」と感じるのは自然だし、
男性が「完全には分からない」と感じることも自然です。

でも、ここで終わりにしない。

“分からなさ”を認めた瞬間から、
相手の現実に近づく道が始まる。

そういう作品だと思いました。

🎭
性別で分けるよりも、
「感じ方の特性」と「社会の構造」を見つめた方が、
この作品はもっと深く刺さります。

『シャイニングな女たち』は、
誰かを断罪する舞台ではなく、
私たちの呼吸を浅くする仕組みを照らす舞台でした🫁✨

※本記事は「女性/男性」を単純に二分する意図はありません。
感じ方には個人差が大きく、文化や経験にも影響されます。
ここでは“傾向”として述べています。

🎭【ネタバレあり・個人的考察】『シャイニングな女たち』が突きつけた問い

――なぜ私たちは「自分の人生」を生きられなくなるのか こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック院長の山口裕礼(やまぐち ひろみち)です。 今回は、PARCO劇場…

「大丈夫です」と笑う人ほど、実は呼吸が浅い。吉高由里子主演『シャイニングな女たち』を呼吸器内科医が観て震えた理由。

こんにちは😊やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック院長の 山口裕礼(やまぐち ひろみち)です。 先日、渋谷の PARCO劇場で上演された舞台『シャイニングな女たち』(作・…

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞