貝原益軒『和俗童子訓』とは?江戸時代の教育書に学ぶ、家庭の空気と言葉の力

こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックです。

今日は、江戸時代の儒学者であり、本草学者でもあった 貝原益軒の書いた、『和俗童子訓』についてご紹介します。

📖 『和俗童子訓』とは?

子どもをどのように育てるか、そして人として大切な心を日々の生活の中でどう身につけるかを説いた、江戸時代の教育書です。

読み方は、わぞくどうじくんです。

少し難しい題名ですが、内容は今の私たちにも通じる、とても大切な教えに満ちています。

子どもの教育について書かれた本ではありますが、読み進めていくと、 むしろ大人自身の言葉づかい、態度、家庭の空気が問われているように感じます。

子どもは、言葉だけで育つのではありません。
毎日見ている大人の姿、家庭の雰囲気、耳にする言葉、人との接し方の中で、少しずつ心を育てていきます。

その意味で『和俗童子訓』は、子育て中の方だけでなく、家庭・職場・人間関係を大切にしたいすべての方に響く古典だと思います。


👇 貝原益軒とはどんな人? 開いて読む

貝原益軒とは

貝原益軒は、江戸時代の儒学者・本草学者です。

健康や養生について書かれた『養生訓』でよく知られていますが、 教育について書かれた『和俗童子訓』も、非常に大切な書物です。

『養生訓』が「体と心をどう整えて生きるか」を説いた本だとすれば、 『和俗童子訓』は「人の心をどう育てるか」「子どもにどのような習慣を身につけさせるか」を説いた本と言えます。

どちらにも共通しているのは、日々の小さな積み重ねを大切にするという視点です。

人は一日でできあがるものではありません。
食事、睡眠、言葉、態度、人との関わり方。
そうした毎日の積み重ねが、その人の体や心、人生の空気をつくっていきます。

👇 『和俗童子訓』はどんな本? 開いて読む

『和俗童子訓』は、子どもの教育について書かれた本

『和俗童子訓』の「童子」とは、子どものことです。

つまり『和俗童子訓』とは、子どもにどのようなことを教え、どのように育てていくかを説いた書物です。

ただし、これは単に「子どもを厳しくしつけなさい」という本ではありません。

🌿 大切なのは、幼いころから善いことを見せ、善い言葉を聞かせ、善い習慣に慣れさせること。

人は、毎日見ているもの、聞いている言葉、周りの大人の態度から大きな影響を受けます。

  • 家庭の中で使われる言葉
  • 親や大人のふるまい
  • 人への接し方
  • 感謝の伝え方
  • 怒った時の態度
  • 困っている人への関わり方

そうした日々の小さな積み重ねが、子どもの心に少しずつ染み込んでいきます。

子どもは「言葉」よりも「空気」を見て育つ

大人は、子どもに対してよく言います。

  • 「ちゃんとしなさい」
  • 「人にやさしくしなさい」
  • 「ありがとうを言いなさい」
  • 「嘘をついてはいけません」

もちろん、言葉で教えることは大切です。

けれど、子どもは大人の言葉以上に、大人の姿そのものを見ています。

大人が人に感謝しているか。
大人が誰かを見下していないか。
大人が弱い立場の人に強く出ていないか。
大人が家族にどんな言葉を使っているか。
大人が失敗した時に謝ることができるか。

子どもは、そうした日常の空気を感じ取っています。

貝原益軒の『和俗童子訓』が今でも大切に感じられるのは、 教育とは、言葉で教えるだけではなく、日々の生活そのものの中にある ということを教えてくれるからです。

👇 「早く教える」とはどういう意味? 開いて読む

早く教えるとは、急がせることではない

『和俗童子訓』では、子どもの教えは早く始めることが大切だと説かれています。

ただし、これは現代の感覚でいう、 「早く勉強を始めなさい」「早く結果を出しなさい」という意味ではありません。

むしろ、もっと根本的なことです。

人として大切なことを、幼いころから生活の中で自然に身につけていく。

たとえば、

  • 「おはよう」とあいさつをする
  • 「ありがとう」と感謝を伝える
  • 人の話を最後まで聞く
  • 人のものを大切にする
  • 約束を守る
  • 嘘をつかない
  • 困っている人に気づく
  • 思い通りにならない時にも、乱暴な言葉を使わない

こうしたことは、急に身につくものではありません。

毎日の中で少しずつ繰り返されることで、その人の自然なふるまいになっていきます。

「善い習慣」は、心の土台になる

『和俗童子訓』の考え方で大切なのは、善い習慣に慣れることです。

人は、習慣によって作られていきます。

🌸 毎日、感謝の言葉を使う人は、感謝に気づきやすくなります。
🌸 毎日、丁寧な言葉の中で過ごす人は、自然と相手を大切にしやすくなります。
🌸 毎日、人のよいところを見る人は、心の向きも少しずつ変わっていきます。

反対に、人の悪口ばかり聞いていると、人の欠点に目が向きやすくなることもあります。
怒鳴り声の中で過ごしていると、心が落ち着きにくくなることもあります。

これは子どもだけの話ではありません。

大人も同じです。

どんな言葉に囲まれているか。
どんな人間関係の中で過ごしているか。
どんな気持ちで一日を終えているか。

それらは、少しずつ自分の心に影響していきます。

だからこそ、善い習慣は心の土台になります。

👇 家庭は最初の学びの場。開いて読む

家庭は、最初の学びの場

子どもにとって、家庭は最初の学びの場です。

学校で学ぶ前に、社会に出る前に、子どもは家庭の中で多くのことを学びます。

  • 人にどう話しかけるか
  • 食事の時にどうふるまうか
  • 自分の気持ちをどう伝えるか
  • 誰かが困っている時にどうするか
  • 失敗した時にどう向き合うか

それらは、教科書だけでは身につきません。

日々の暮らしの中で、少しずつ身についていきます。

そして、その家庭の空気は、子どもの心に長く残ります。

もちろん、完璧な家庭である必要はありません。
完璧な親である必要もありません。

誰でも疲れる日があります。
誰でも怒ってしまうことがあります。
誰でも言いすぎてしまうことがあります。

大切なのは、間違えないことではありません。

「ごめんね」
「言いすぎたね」
「もう一度話そう」

そう言えることもまた、大切な教育です。

大人自身も、学び続ける存在

『和俗童子訓』は子どもの教育について書かれた本ですが、 読んでいると、むしろ大人自身が問われているように感じます。

子どもに善いことを教えるには、まず大人が善い姿を見せる必要があります。

  • 子どもに感謝を教えるなら、大人も感謝を言葉にする
  • 子どもに礼儀を教えるなら、大人も人を大切にする
  • 子どもに正直さを教えるなら、大人も誠実であろうとする
  • 子どもに思いやりを教えるなら、大人も身近な人にやさしくする

つまり、子どもの教育は、大人自身の生き方と切り離せません。

これは少し耳が痛いことでもあります。

けれど、だからこそ希望もあります。

大人が少し変われば、家庭の空気も少し変わります。
家庭の空気が変われば、子どもや周囲の人の心にも少しずつ影響します。

教育とは、子どもだけを変えようとすることではなく、 大人も一緒に育っていくことなのかもしれません。

👇 「積善の家」とのつながりを開いて読む

「積善の家」とも通じる考え方

『和俗童子訓』の教えは、中国の古典『易経』にある、 「積善の家には必ず余慶あり」 という言葉にも通じるものがあります。

これは、 善い行いを積み重ねている家には、本人だけでなく、家族や子孫にまでよい影響が残る という意味です。

善い言葉を積む。
感謝を積む。
思いやりを積む。
誠実な行動を積む。

そうした日々の小さな積み重ねが、家庭の空気をつくり、人の心を育てていきます。

反対に、冷たい言葉、怒り、無視、見下し、不誠実な行動も、 積み重なればその場の空気になります。

だからこそ、日々の小さな行いを軽く見ないことが大切です。

今日からできること

『和俗童子訓』の教えを、現代の暮らしの中で考えるなら、難しいことではありません。

今日からできることは、身近にあります。

  • 朝、家族にあいさつをする
  • 誰かに「ありがとう」と言う
  • 子どもの話を最後まで聞く
  • 自分の機嫌を周りにぶつけない
  • 間違えたら謝る
  • 人の悪口を言いすぎない
  • 弱い立場の人にやさしくする
  • 小さな約束を守る
  • 丁寧な言葉を一つ増やす

どれも大きなことではありません。

でも、こうした小さな行いが、家庭の空気を変えていきます。
そして、その空気の中で、人は少しずつ育っていきます。

おわりに

🌿 子どもは、日々の言葉と空気の中で育つ。
🌿 善い習慣は、心の土台になる。
🌿 大人の姿は、子どもに伝わる。
🌿 家庭の空気は、人生に長く影響する。

貝原益軒の『和俗童子訓』は、江戸時代に書かれた古い本です。

しかし、そこに書かれていることは、今の時代にも十分通じます。

子どもは、日々の言葉と空気の中で育つ。
善い習慣は、心の土台になる。
大人の姿は、子どもに伝わる。
家庭の空気は、人生に長く影響する。

この教えは、子育て中の方だけでなく、私たち大人すべてに向けられたもののようにも感じます。

完璧である必要はありません。

ただ、今日の一言を少しやさしくする。
今日の態度を少し丁寧にする。
今日の感謝を言葉にする。

その小さな積み重ねが、家庭をあたため、人の心を育て、未来へのよい贈り物になっていくのだと思います。

子どもを育てることは、大人自身も育つこと。
『和俗童子訓』は、そんな大切なことを静かに教えてくれる一冊です。🌸

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞