クリニックだより 内科

業界初!患者に寄り添った優しいAsthma National Symposium

内科

~喘息治療の潮流と未来~

福岡で開催されたAsthma National Symposiumは非常に素晴らしい講演会でした。
この講演会形式は、今後の喘息講演会における新たな指針となるでしょう。

まずはこの講演会を企画したノバルティスファーマ株式会社に感謝申し上げます

非常にコンパクトにまとめられていました。

・初めてといっても良いくらい患者さん想いの講演
・90分ですべて網羅でき、余計なディスカッションやアンケートのような無駄な時間が無かったこと
・患者想いであった裏側にはさらに、気が付いたら医者想いの講演でもあった
・最後の昼食もない事から昼以降は好きな時間を満喫できた

以下に、講演会の内容を詳しく紹介し、最後に感想を含めてみましょう。

オープニングリマークス

講演会のオープニングでは、喘息治療に焦点を当て、日本における喘息の広がりとコントロールの難しさについて言及されました。

2000万人もの喘息患者がいる中、コントロールが難しい患者が多く、診断の難しさや初期治療の課題、そして治療コストに関する問題が浮き彫りにされました。

この状況下で、吸入治療と重症喘息のコスト効果を考慮した選択が重要であることが強調されました。

特別講演1.喘息吸入再考―効果を意識した喘息治療薬の使い方―

このセッションでは、吸入ステロイドの使用により喘息の死亡率が減少している一方、まだ1000人を切っていない喘息の死亡者数に焦点が当てられました。

喘息治療の目標は、症状のコントロールと将来のリスク回避であり、早期からの予防が重要であることが述べられました。

また、喘息のコントロールに関する最新のガイドラインが紹介され、初期治療からコントロールが不良な場合の選択肢も議論されました。

特に、アテキュラという吸入デバイスの効果的な使用による改善事例が提示され、アテキュラの高い満足度が強調されました。

特別講演2.PGAMから紐解く吸入指導のNew Standard

こちらの内容は特筆すべき内容です

このレベルまで吸入指導に焦点を当てた全国講演会はこの業界初めてでありインパクトは抜群。

患者に寄り添った優しい講演であるか否かは「吸入指導に関する講演」が入っているか否かが今後の世界基準になります。

この特別講演では、PGAMガイドラインを中心に、喘息の診断から吸入器の正しい使用方法について詳細に説明されました。

吸入操作のビデオや吸入指導の重要性についても触れられ、特にブリーズヘラーという吸入デバイスの優れた特性について紹介されました。

吸入手技の細かいポイントや、吸入療法エキスパート向けの最新ガイドラインも紹介され、在宅医療においてもブリーズヘラーが有用であることが強調されました。

特別講演3.医療経済を視点とする重症喘息治療―オマリズマブを選択するメリットについて再考するー

この講演では、喘息の重症度が高まると医療費が増加する現状に焦点を当て、費用対効果についての議論が行われました。

特に、ゾレア(オマリズマブ)に関する治療選択と支払意思額の調査結果が紹介され、生物学的製剤に対する患者の選択についての洞察が提供されました。

オマリズマブの安全性や他の生物学的製剤についても詳細に議論され、オマリズマブの選択根拠が明確に示されました。

クロージングリマークス

講演会のクロージングでは、従来のステップワイズなアプローチから、precision medicineへの移行が進行していることが強調されました。

エナジアやアテキュラなどの治療効果が期待される患者層や、吸入療法におけるステップダウンの利点について紹介されました。

また、ライノウイルスに対するゾレアの効果や、最新の喘息治療についても言及され、未来の喘息治療の展望が示されました。

感想

このAsthma National Symposiumは、喘息治療の最新の潮流や未来に向けた展望について非常に充実した情報を提供しました。

以下に、この講演会の感想を詳しく述べます。

まず、講演会全体を通じて、喘息の現状や治療の課題についての理解が深まりました。

日本における喘息の広範な存在や、コントロールが難しい患者の多さについての議論は、医療関係者にとって貴重な洞察を提供しました。

喘息治療における初期の吸入療法の選択から、難治性喘息患者に対する生物学的製剤の選択まで、幅広いテーマが掘り下げられました。

特別講演1では、喘息治療の目標である症状のコントロールと将来のリスク回避に焦点を当て、その重要性が強調されました。

また、アテキュラという吸入デバイスの成功事例が示され、その高い満足度に注目が集まりました。

これは、新たな治療アプローチが患者にとって有益であることを示唆しています。

特別講演2では、吸入指導についての新たな基準が提示され、吸入器の正しい使用法や、吸入操作のビデオによる指導の重要性が明確に示されました。

特に、ブリーズヘラーの特性についての詳細な説明があり、在宅医療においても有用であることが示されました。

これは、医療従事者にとって重要な情報であり、患者のケアにおいて大いに役立つでしょう。

繰り返しになるが、吸入指導の全国講演会は特筆すべき試みです。

このレベルまで吸入指導に焦点を当てた全国講演会は初めてでありインパクトは抜群。

患者に寄り添った優しい喘息講演であるか否かは「吸入指導に関する講演」が入っているか否かが今後の世界基準になります。

特別講演3では、医療経済や治療選択に関する重要な視点が提供されました。

医療費と治療選択の関連性についての議論や、オマリズマブ(ゾレア)の選択メリットに関する情報は、治療決定においてのガイドとして非常に役立つでしょう。

最後に、講演会のクロージングでは、喘息治療の進化と将来に向けた展望が示され、個別医療への移行が強調されました。

新しい治療効果や吸入療法のステップダウンに関する情報は、今後の喘息治療において重要な要素となるでしょう。

総括すると、このAsthma National Symposiumは、喘息治療に関する最新の知識と情報を提供し、医療関係者と患者にとって非常に価値のあるイベントでした。

今後の喘息治療の向上に向けて、新たなアプローチや指針に対する理解が深まり、喘息患者の生活の質の向上に貢献することでしょう。

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。