菅原孝標女が語る「源氏物語」の核心
ドラマ「光る君へ」では、地方で『源氏物語』を暗記するほど熱中したという菅原孝標女(更級日記の作者)が登場します。
彼女が「光る君は、女を照らし出す光だったのでございます」と語るシーンは、多くの視聴者に印象を与えました。
この言葉は、『源氏物語』の本質を見事に表しているだけでなく、作中でのまひろ(紫式部)と道長の関係性を象徴しているように感じられます。
まひろ自身も、道長という存在によって人生を大きく変えられ、彼の光によって自身の可能性を照らし出された一人でした。
「光る君は、女を照らし出す光だった」
菅原孝標女が語った「光る君は、女を照らし出す光だったのでございます!」という言葉。
この言葉は、『源氏物語』の中での光源氏の存在を端的に表すものですが、同時にドラマ「光る君へ」の主人公・まひろと道長との関係性にも深く関わっているように思います。
光源氏は物語の中で多くの女性を照らし出し、その魅力を引き立たせる存在でした。
そして、道長はまさにまひろを照らし出す光のような存在でした。
権力者としての地位や影響力でまひろを支え、『源氏物語』を世に出す環境を作り上げたのです。
「照らし出される存在」としての私たち
この「光に照らされる」というテーマは、現代に生きる私たちにとっても示唆に富むものです。
人生には、自分自身が光を放つ瞬間もあれば、他者によって照らし出され、その存在価値や可能性を見出される瞬間もあります。
たとえば、病気や不安に直面したとき、家族や友人、医療スタッフの支えによって励まされ、新しい道を見つけることがあるでしょう。
それはまさに「照らし出される存在」としての瞬間です。
自分ひとりでは気づけない光や希望を、他者とのつながりが見せてくれることもあります。
「光る君」を自分の中に見つける
一方で、まひろは道長に「照らし出される存在」でありながら、自身の文学的才能をもって多くの読者に光を与える存在でもありました。
この二重性は、私たちが人生を考えるうえで重要な視点を示しています。
誰かに支えられることは大切ですが、自分自身が誰かを照らす「光る君」になることも、人生において喜びや意義を見つけるカギとなるでしょう。
日々の中で、自分が他者の支えとなる瞬間を見つけることで、より豊かな人間関係や自己実現につながります。
「光る君」から学ぶ、支え合う力
菅原孝標女の考察を通じて、『源氏物語』のテーマだけでなく、ドラマ「光る君へ」が伝えた支え合いの価値を改めて感じます。
人生の中で出会う人々やその関係性が、私たちを光で照らし、時に私たち自身が光を放つ存在となる。
この支え合いの連鎖が、人生をより豊かにしてくれるのではないでしょうか。
あなたの周りにも、きっと「光る君」がいるはずです。
そして、あなた自身も誰かにとっての「光る君」となれる存在です。
その温かな光が、より多くの人の心を照らしますように。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼