🌸『神様のカルテ』の一文から見える ― 医療の本質とは

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口裕礼です。

今日は、『神様のカルテ』から心を揺さぶられた一節をご紹介し、
そこから「医療の本質」についてお話しします。

✉️「病むということは、とても孤独なことです」

ある患者さんが医師にあてた手紙の中に、こんな言葉がありました。

病むということは、とても孤独なことです。
どうか、孤独な人たちにつきあってあげてください。

医師として胸に深く届く一文です。

病気の苦しさには、
「症状」だけでなく、
誰にも言えない不安を抱える時間の孤独
が含まれています。

🟦 「大学は安曇さんのような人を診る場所ではない」

手紙の中には、こんな印象的な一行もあります。

『大学は安曇さんのような人を診る場所ではないのです』
と先生が困ったような顔をして言ってくださったことを私は覚えています。

この一言には、医療現場のリアルが凝縮されています。

大学病院は、
最先端の治療・重症例の管理・専門性の研ぎ澄まされた場所です。

だからこそ、
人生の悩みや、長年寄り添ってきた「生活としての病」の相談をする場所ではない
という現実があります。

しかし実際には、
病気とは生活であり、人生であり、孤独であり、感情そのものです。

だからこの患者さんは言います。

大学に行くと、先生の顔を思い出すんです。

“治してくれる場所”ではなく、
“自分をわかってくれる場所”
として医師を思い出したのです。

🟦 時間がなくても、医師は患者の「雰囲気」を感じ取っている

理想を言えば、すべての患者さんと
ゆっくり話をしたい。

しかし現実の呼吸器内科は、
1日に100人近くの患者さんが来院する日もあります。

長く話を聴けないことは、どうしてもある。

ただ、それでも医師は患者さんのことを見ています。

診察室に入った“その瞬間”で、

・息の使い方
・声のかすれ
・表情の変化
・肩の上下
・歩くリズム
・沈んだ空気
・言葉にしない焦り

こうした“雰囲気のすべて”を読み取ります。

これは経験を積んだ医師が持つ
特有の察知能力です。

だから患者さんが言葉にできなくても、
“今日は違うな”という変化は自然と分かります。

🟦 医療とは「孤独を半分にする専門職」

手紙にはさらにこう書かれていました。

先生のおかげで私は、とても楽しい時間をすごせました。

治療で病気を治した、という意味ではありません。
医師がその人の孤独に寄り添ったからこそ、
人生の時間が“楽しい”と感じられた。

つまり医療とは、

✨ 病気を治すこと
だけでなく、
✨ 孤独を取り除き、
✨ 生きる力を戻し、
✨ 心の重荷を半分にすること

でもあるのです。

大学病院ではできない曖昧で柔らかな領域。
けれど、地域の医療には欠かせない本質です。

🌸さいごに

病気は身体の問題と同時に、
深い孤独として現れることがあります。

だから私は今日も診察室で、
言葉にならない“あなたの雰囲気”を丁寧に汲み取りながら、
病気と共に、その孤独にも寄り添いたいと思っています。

どうか辛いときは一人で抱えず、
気軽にご相談ください🍀

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
カラダ取説®マスター・ジェネラル ← NEW✨
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞