🌿第3回「腸と肺がつながってる⁉ “腸肺軸”のひみつ」

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です🩺
今回は、「腸」と「肺」がつながっているという、一見意外な関係のお話です。
🧠「肺の病気なのに、腸が関係あるの?」と思いますよね。
たとえば――
- 便秘気味のとき、喘息の症状も悪くなる
- 腸が弱っている人に、アレルギーやぜんそくが多い
- 乳児期の腸内環境が、その後の喘息リスクに関係する
…そんなことが、最近の医学では少しずつ明らかになってきています。
この現象に注目した考え方が、「腸肺軸(ちょうはいじく)」というキーワードです🌬️🌱
🔗腸肺軸(Gut–Lung Axis)とは?
簡単に言えば、
腸内の状態(とくに腸内細菌・真菌)が、肺の免疫やアレルギーに影響する
という考え方です。
腸と肺は、直接つながっているわけではありません。
でも、血液や免疫細胞、代謝物質を通して、お互いに影響を与えあうことがわかってきました。
🦠腸には「細菌」だけじゃなく「真菌(カビ)」もいる⁉
私たちの腸内には数百兆の細菌が住んでいます。
そしてその中に、ほんの1%以下ですが、「真菌(しんきん)」も存在しています。
その代表が、カンジダ菌(Candida)です。
- 甘いものを食べすぎるとカンジダが増えやすい
- カンジダが過剰に増えると、免疫のバランスが崩れる
- 結果的に、アレルギーや喘息を悪化させる可能性がある
というメカニズムが、最近の研究で示されています🔬
📡腸内で起こった“炎症の信号”が肺に届く?
腸のカンジダ菌などが出す“炎症を起こす物質”は、腸の壁をすり抜けて血液に乗って全身へ。
すると、肺の免疫細胞もその影響を受けて、アレルギー反応が起きやすくなるという仕組みが考えられています。
この“遠隔操作”のような作用が、腸肺軸の重要なポイントです📡🫁
🔄腸が乱れると肺も乱れる?その逆もあるかも
近年の研究では、こうした双方向の関係が報告されています。
腸内の変化 | 影響 |
---|---|
甘いものの食べすぎ | カンジダ菌の増殖・炎症物質の増加 |
抗生物質の長期使用 | 善玉菌・善玉真菌の減少→免疫の乱れ |
便秘・下痢 | 腸のバリアが壊れ、異物が体内へ侵入しやすく |
こういった変化が、「肺でのアレルギー反応を強める」可能性があるというわけです。
👀まだ仮説レベル。でも“食べ物と呼吸”は、思ったより深くつながってる?
この「腸肺軸」という考え方は、まだ研究途上です。
でも、喘息やアレルギーに悩む患者さんの生活を見ていると、
- 食べ過ぎ、甘いものの摂りすぎ
- 便秘や腸の不調
- 抗生物質の乱用
…などが、呼吸の不調に“影響してそう”だなと感じることは少なくありません。
📝次回予告
第4回は…
📌 「カンジダ菌は甘いものが大好き? 腸内の真菌と砂糖の関係」
についてお届けします🍭
甘いものが腸のカビにどう影響するのか、わかりやすく解説します!
📣「腸と肺」という、一見関係なさそうな臓器どうしが、
免疫というキーワードでつながっているというのはとても興味深いですね。
次回もお楽しみに✨
投稿者プロフィール

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資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
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