💊薬だけ?それとも“つながり”?~処方日数に秘められた、医師と患者の信頼の形~

~処方日数に秘められた、医師と患者の信頼の形~
こんにちは😊
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 院長の山口裕礼です。
日々の診療の中で、私が患者さんと向き合ううえでとても大切にしていることがあります。
それは――
薬の処方を通じて、患者さんとどのような関係を築いていきたいか。
今日はそんな思いを、少しだけ言葉にしてみたいと思います✍️
🗓 処方日数に込められた“距離感”と“意図”
当院では、2週間、1か月、2か月、そして3か月処方まで、幅広く対応しています。
その中で感じてきたのは、
処方日数には、病状の安定度だけでなく、“心の距離”が映し出されることがあるということです。
- 2週間処方 → 症状が不安定、丁寧な経過観察が必要
- 1〜2か月処方 → 病状は落ち着いているが、定期的に確認し合う関係性
- 3か月処方 → 状態が安定しており、信頼のうえに成り立つ「卒業」も視野に
この3か月処方が“関係の終わり”を意味するわけではありませんが、
医師と患者の関係における節目や変化の兆しを感じることがあるのです。
🏥 一方で、大学病院などでは「3か月処方」が常態である現実も
もちろん、大学病院など大規模医療機関では、
外来数の多さや再診の混雑状況などから、
合理的かつ現実的な対応としての「3か月処方」が行われています。
これは患者さんへの思いやりであり、
「別れの予感」などでは決してありません。
実際に、私もかつて大学病院で診療をしていた経験から、
その必要性と正当性は十分理解しています。
💬 それでも感じる、“薬だけ”の受診
しかし、クリニックという“顔が見える”医療の場で、
もし私が患者さんから「薬さえもらえればいい」という姿勢を感じ取ったとき――
私は静かに、そして深く考えるようになりました。
私は「薬を出す人」でいいのか。
それとも「寄り添い、共に健康を支える医師」でありたいのか。
もちろん、「薬だけで十分」という考え方を否定するわけではありません。
- 忙しくて通院の時間が取りづらい方
- 長年安定していて大きな不安がない方
- シンプルに効率を求めたい方
そうしたニーズも確かにあります。
ただ、当院が目指しているのは、もう一歩踏み込んだ医療です。
🧭 薬は“手段”であり、“目的”ではない
私たち医師が薬を処方するとき、それはただのルーチン作業ではありません。
- この患者さんの体質やライフスタイルは?
- この薬は今の生活にどう影響するだろう?
- 副作用や変化に、次にどうつなげよう?
こうした思考の積み重ねが、患者さんの“未来”を考えた医療につながっていきます。
薬だけを目的にされると、
私たちはどうしても「一歩先の医療」を提供することが難しくなってしまいます。
🤝 3か月処方の本当の意味とは
3か月処方には、もちろんポジティブな意味も多く含まれます。
- 状態が落ち着いている証拠
- 医師との信頼が積み重なっている
- 通院困難な状況に対する配慮
- 「もうすぐ卒業かな」という明るい予感🎓
しかしそれでも、薬だけを求めるだけの関係になってしまえば、そこに“医療の温度”は感じられなくなるのもまた事実です。
それは単なる「流通」――つまり薬のやり取りになってしまうかもしれません。
私たちが提供したいのは、そうではなく、
薬の向こうにある“人と人の医療”です。
🔄 顔を忘れたら、他人になります
患者さんの中には、3か月処方が続いて顔を見る機会が減ると、
ある日ふと「この患者さんは誰だっけ??」――そんな瞬間がやってきます。
そのとき私は、心の中でこうつぶやきます。
医者から顔を忘れられたら、それはもう他人です。
もちろん、それが悪いこととは限りません。
- もう通院しなくてもいいほど元気になった
- 安定していて、診察が必要なくなった
- 卒業できた、という証
そういう“明るい別れ”もたくさんあります😊
しかし一方で、
- 「薬だけもらえればいいから」
- 「忙しいから通わない」
- 「つながりは必要ない」
という理由で顔を合わせなくなった場合は…
本当にそれで大丈夫なのか、一度立ち止まって考えていただきたいのです。
🌱 最後に、あなたへの問いかけ
薬だけを受け取るための医療。
医師と話し、寄り添いながら歩む医療。
どちらが正しいということではありません。
ただ、当院は後者を大切にしていきたいと考えています。
それが、患者さんの健康と安心につながる本当の医療だと信じているからです。
👨⚕️やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口 裕礼
🖥ホームページはこちら👇
https://yamaguchi.clinic
投稿者プロフィール

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からだ整えラボ
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
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