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鼻呼吸のメリットと喘息への影響について

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鼻呼吸が喘息コントロールに役立つのか?

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

喘息をコントロールする上で、薬物治療だけでなく、日常生活での呼吸法に注目することも有用です。

中でも「鼻呼吸」を意識することは、呼吸器系全体の健康にとって多くのメリットがあります。

今回は、鼻呼吸がもたらす効果や、誤解されがちな点について正確な情報をお伝えします。

鼻呼吸がもたらすメリット

  • 空気を温め・加湿する: 鼻は冷たく乾燥した空気を温め、適度に湿らせる機能があります。これにより気道への刺激を減らし、乾燥による不快感や刺激を緩和します。
  • 異物の濾過機能: 鼻毛や鼻粘膜はフィルターとして働き、ほこり、花粉、細菌などの異物が直接気道に入るのを防ぎます。これによってアレルギー症状や感染症のリスクを軽減できます。
  • 呼吸リズムの安定: 鼻呼吸は自然とゆっくりとした呼吸につながりやすく、リラックス効果を高め、全身の緊張を和らげる一助となります。

誤解されがちな点

  • 酸素の取り込み効率: 鼻呼吸と口呼吸で、劇的に取り込める酸素量が変わるわけではありません。運動時など大量の酸素が必要な場面では、口呼吸も適切な選択肢となることがあります。
  • 喘息症状との直接的な関連: 鼻呼吸は気道を保護する働きがありますが、喘息の根本原因である気道炎症そのものを和らげるわけではありません。喘息の治療には、医師の指示に従い、吸入ステロイドやその他の薬物療法によるコントロールが必要です。

まとめ

鼻呼吸は、空気を加湿・温め、異物を除去することで、呼吸器を保護する役割があります。

しかし、鼻呼吸自体が喘息症状を直接的に治したり、酸素摂取量を大幅に増やすわけではありません。

喘息のコントロールには、適切な治療と生活習慣の見直しが欠かせません。

その中で、鼻呼吸を意識的に行うことは、呼吸器全般の健康維持には確かに有益な一歩となるでしょう。

日常でできる鼻呼吸の習慣化

  • 姿勢を正す: 背筋を伸ばし、胸やお腹が楽に動く姿勢を保つことで、自然に鼻呼吸がしやすくなります。
  • 睡眠時の工夫: 口呼吸傾向がある方は、寝る前に鼻づまりの有無をチェックし、必要に応じて耳鼻科を受診することで、鼻呼吸しやすい環境を整えることができます。
  • 軽い運動で実践: ウォーキングや軽いストレッチを行う際、あえて鼻でゆっくり呼吸することを意識してみてください。

もし喘息の症状や呼吸に関するお悩みがありましたら、いつでも当院へご相談ください。

適切な治療とサポートで、より良い呼吸習慣を築いていきましょう。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口裕礼


投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。