🧨【医療のリアル】“生きることを舐めきっている”患者さんに医師はどう向き合うのか?

そして私はなぜ、そのさらに奥にある「生きることをあきらめた心」まで考えるのか。
こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長の 山口裕礼 です。
夏川草介『神様のカルテ』。本文では、ベテラン医師が主人公に語りかけます。
「生きることに舐めきっているような人に、時間を費やす必要はないだけ。」
かなり強烈な言葉です。
しかしこの一文の裏には、医療者が日々直面する “現実” が凝縮されています。
今日は、多くの医師が語らない「現場の本音」と、
そこからさらに踏み込んだ 私自身の視点 をお話しします。
🧩 一般的に“医師が取らざるを得ない対応”とは?
ここからは どの医療現場でも普遍的に見られる一般論 です。
🥃1. 本気で変わる意志がなければ成果は出ない
医師がどれだけ努力しても、
患者さんが“変わりたくない”なら結果は出ません。
たとえば…
・注意しても飲酒を続ける
・タバコをやめる気が全くない
・薬を飲まない
・悪化してからしか受診しない
・指導を完全に無視する
こういう場合、医療側は
「できる範囲が限られる」
という現実に直面します。
🧊2. 感情を入れず、淡々と対応する
本気で変わる気のない患者さんに深く関わると、
医療者側が壊れてしまうからです。
だから医師はあえて
“感情の関与を最小限に” することで
自分を守っています。
患者側にとって、多くの医師は冷たいと感じられる場合もあるかと思います。
そうさせているのは、あなたかもしれません。
冷たいのではありません。
医師が壊れないための、必要な距離です。
📉3. 必要最低限の医療にとどめる
・今の症状を抑える薬
・最低限の検査
・悪化を防ぐラインだけ伝える
無駄に高度医療を提供しても、
患者さんが変わらないと意味がないからです。
⚠️4. それでも医師は見捨ててはいない
「救われる気がない人は救えない」
これは医療の厳しい現実。
でも 見捨てているわけではありません。
医師はいつでも「変わる瞬間」を待っています。
🔥5. 変わろうとした瞬間、医師の対応は一変する
これは医療者に共通しています。
✨患者さんが本気になった瞬間、
✨どれだけ生活が荒れていても、
✨どれだけ過去に無茶をしていても、
医師の熱量は一気に100倍になります。
理由はただ一つ。
“本気の患者は、救えるから”
👇ここからが私の本心
🧭 私がさらに深く考えるのは、“生きることをあきらめた心”が背景にあると感じるから
『神様のカルテ』の本文中では
「生きることを舐めている患者」
と表現されます。
しかし私は、診察室で向き合ってきた中でこう思うことがあります。
その人は本当に“舐めている”のではなく、
すでに生きることをどこかであきらめてしまっているのではないか?
・長年の孤独
・家族との不和
・過労
・経済的つらさ
・自己肯定感の喪失
・病気への絶望
・誰にも頼れない環境
これらが積み重なった結果、
「どうでもいい」
という態度に見えているだけなのではないか。
私はそう感じることが多いのです。
❤️ だから私は“あきらめの背景”を見たいと思っている
もちろん、
“そこまで” 心に踏み込むには時間がかかります。
1年、2年の診察で分かるものではありません。
🌱 少しずつ、
🌱 何度も顔を合わせて、
🌱 話す言葉の端々から、
🌱 雰囲気、表情、選ぶ言葉から、
やっとその奥にある「本当の気持ち」が見えてきます。
医療は薬だけの世界ではなく、
患者さんの人生そのものと向き合う行為です。
だからこそ、
“舐めている”ように見える人の背中には
深い理由があるかもしれない――
そう考えるようになりました。
🌟 結論:医療は「本気」と「信頼」が重なったときに人生を変える力になる
一般的には、
本気のない患者さんには淡々と最小限の医療しかできません。
しかし私は、
そのさらに奥にある “あきらめの心” にまで
少しずつ寄り添っていきたいと考えています。
ただし——
✨そこにたどり着くには時間がかかります。
✨信頼が必要です。
✨何度も話すことが必要です。
医療は“心のキャッチボール”。
お互いの本気と信頼がそろった瞬間、
治療は一気に前へ進みます。
あなたが「変わりたい」と思ったその瞬間、
医師は必ず応えます。
いつでも、何度でも。
投稿者プロフィール

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からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
カラダ取説®マスター・ジェネラル ← NEW✨
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞
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