ゴールデンウィーク、身近な源泉かけ流し温泉で「自分に合う温泉」を考えました

ゴールデンウィーク、身近な源泉かけ流し温泉で「自分に合う温泉」を考えました

こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

ゴールデンウィーク、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

私はこの連休中に、横浜市青葉区にある「横浜青葉温泉 喜楽里別邸」へ行ってきました。

私は以前から温泉が好きです。

これまで、新潟、群馬、伊豆、栃木、北海道、八丈島、湯河原、熱海、箱根、長野、山梨など、さまざまな温泉地を訪れてきました。特に好きなのは、静かで、少しひなびた雰囲気のある温泉宿です。

源泉かけ流しのお湯に身を沈め、余計なことを考えず、ただお湯の感触を味わう時間。
私にとって温泉は、単なる娯楽ではなく、心と体を整える大切な時間です。

ただ今回あらためて感じたのは、「温泉好きでも、身近にあるとうれしい」ということです。

遠くの秘湯や名湯ももちろん魅力的です。
しかし、日常の延長線上に、体を温め、呼吸をゆるめ、肌と向き合える場所があることも、とてもありがたいことだと思いました。

この記事では、温泉好きの一人としての体験に加え、喘息や皮膚の状態に合わせた温泉の見分け方についても少し詳しく書いてみます。

横浜市内で楽しめる、源泉加温かけ流しの湯

今回訪れた横浜青葉温泉 喜楽里別邸は、竹林に包まれた露天風呂が印象的な温泉施設です。

公式サイトによると、源泉名は「横浜青葉温泉 喜楽里 別邸」、泉質は「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉」

「源泉の湯」は源泉加温かけ流しと紹介されています。

この泉質は、旧泉質名では「含食塩-重曹泉」とされるタイプです。

重曹成分を含む炭酸水素塩泉は、一般に皮膚表面の角質をやわらかくし、入浴後に肌がすべすべしたように感じられることがあります。

また、塩化物泉は皮膚に塩分が付着しやすく、湯冷めしにくい「温まり感」を感じる方もいます。

もちろん、温泉は病気を直接治すものではありません。

しかし、温熱作用、浮力、水圧、環境の変化、リラックス効果が重なり、心身を整える助けになることがあります。

温泉の効能は「泉質」だけで決まらない

温泉の効能というと、つい「何泉が何に効く」という話になりがちです。

しかし医師として見ると、温泉の合う・合わないは、泉質だけでは決まりません。

  • お湯の温度
  • 入浴時間
  • 全身浴か半身浴か
  • 露天風呂か内湯か
  • 硫黄臭や塩素臭の有無
  • 肌のバリア機能
  • 喘息、心臓病、高血圧、皮膚炎などの持病の状態
  • その日の疲労、睡眠不足、脱水の程度

つまり、温泉は「泉質」×「体質」×「病状」×「入り方」で考える必要があります。

同じ温泉でも、ある人には心地よく、別の人には刺激になることがあります。

ここに、温泉療法のおもしろさと難しさがあります。

喘息の方に合いやすい温泉・合いにくい温泉

呼吸器内科医として、喘息の方にお伝えしたいのは、「喘息に効く温泉」を探すよりも、「喘息を悪化させにくい入り方」を考えることが大切ということです。

喘息は気道が敏感になっている病気です。

温泉そのものが悪いわけではありませんが、温度差、湯気、におい、疲労、脱水、長湯などが重なると、咳や息苦しさのきっかけになることがあります。

喘息の方に比較的向きやすい条件

  • ぬるめのお湯
  • 短時間の入浴
  • 半身浴
  • 休みながらの入浴
  • においの刺激が少ない温泉
  • 体調が安定している時の入浴

喘息の方が注意したい条件

  • 42℃以上の熱い湯
  • 長湯
  • のぼせるまで入ること
  • サウナと水風呂の反復
  • 硫黄臭、塩素臭、湯気が強くこもる浴室
  • 咳が増えている時、発作気味、発熱時の入浴

喘息の方にとって、温泉は「温まって呼吸が楽になる」と感じる場合もあります。

一方で、熱すぎるお湯、強いにおい、屋内で湯気がこもった環境、急な寒暖差は合わないことがあります。

特に、入浴前から咳が増えている、胸がゼーゼーする、発作止めの吸入薬を使う回数が増えている、発熱している、少し動いただけで息苦しい――このような時は、温泉で無理に整えようとせず、入浴は控えめにしてください。

喘息の方におすすめしたい入り方は、「ぬるめ・短め・半身浴・休憩多め」です。

最初は3〜10分程度から。
体調がよければ少しずつ延ばしてもよいですが、のぼせるまで入る必要はありません。

温泉は我慢大会ではありません。

「気持ちよい」と感じる手前で出るくらいが、呼吸器にはちょうどよいこともあります。

皮膚に良い温泉・良くない温泉の見分け方

温泉と肌の関係も非常に興味深いです。

温泉には、肌がすべすべするタイプ、しっとりするタイプ、殺菌力が強いタイプ、刺激が強いタイプがあります。

しかし、ここでも大切なのは「肌質によって合う温泉が違う」ということです。

乾燥肌の方

乾燥肌の方は、保湿感のある塩化物泉や、刺激の少ない単純温泉、弱アルカリ性の炭酸水素塩泉が合うことがあります。

ただし、長湯をすると皮脂が落ちすぎ、かえって乾燥やかゆみが増えることがあります。

入浴後は、できるだけ早めに保湿剤を塗ることが大切です。

アトピー性皮膚炎・湿疹がある方

アトピー性皮膚炎や慢性湿疹では、硫黄泉や酸性泉が泉質別適応症として挙げられることがあります。

ただし、これは「誰にでも合う」という意味ではありません。

皮膚が赤く炎症を起こしている時、掻き壊しがある時、しみる時期には、酸性泉や硫黄泉が強い刺激になることがあります。

入浴中にヒリヒリする、入浴後にかゆみが増える、赤みが強くなる場合は、その温泉は今の肌には強すぎる可能性があります。

敏感肌・高齢者の乾燥肌

敏感肌の方や、高齢で皮膚が乾燥しやすい方は、刺激の強い温泉に注意が必要です。

酸性泉や硫黄泉は、肌に合う人には魅力的な泉質ですが、皮膚や粘膜が敏感な方では刺激になることがあります。

その場合は、入浴後に温泉成分を軽く洗い流し、すぐに保湿する方がよいこともあります。

温泉分析書で見るべきポイント

温泉施設には、通常「温泉分析書」や「泉質表示」が掲示されています。

温泉好きの方は、ぜひここを見てみてください。

1. 泉質名

単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉、酸性泉などを確認します。

2. pH

アルカリ性は肌がすべすべしたように感じやすく、酸性は殺菌力がある一方で、肌への刺激になることがあります。

3. 源泉かけ流し・循環・加水・加温

お湯の使い方を確認します。源泉かけ流しでも、温度調整のために加温されることがあります。

4. 浴槽の温度

喘息、高血圧、心臓病のある方は高温浴に注意が必要です。

5. におい

硫黄臭や塩素臭が強いと、気道や皮膚への刺激になる方がいます。

6. 入浴後の肌

しっとりするか、つっぱるか、かゆくなるか。最終的には、自分の肌で確認することが大切です。

温泉の表示を読むと、「なんとなく気持ちよかった」が、少しずつ「自分にはこのタイプが合う」という理解に変わっていきます。

私が考える「その人に合った温泉療法」

温泉療法というと、特別な施設で長期間行うものを想像するかもしれません。

もちろん本格的な温泉療養では、医師や温泉療法医の指導のもと、泉質、入浴時間、回数、運動、休養、睡眠、食事まで含めて考えます。

一方で、日常の中でも「自分に合った温泉との付き合い方」を考えることはできます。

たとえば、次のように自分の体を観察します。

  • この泉質に入ると、肌がしっとりするのか、乾燥するのか
  • 入浴後に咳が楽になるのか、逆に咳が増えるのか
  • 熱い湯が合うのか、ぬるめが合うのか
  • 露天風呂が気持ちよいのか、寒暖差でつらいのか
  • 硫黄臭が心地よいのか、息苦しく感じるのか
  • 長湯で整うのか、短時間の方が疲れないのか

温泉は、体質を知るための鏡のようなものです。

肌が乾燥している人には、保湿まで含めた温泉の入り方。
喘息の人には、気道への刺激を減らす入り方。
高血圧や心臓に不安がある人には、熱すぎない、長すぎない、急に立ち上がらない入り方。

その人その人に合った温泉療法とは、「この泉質が効く」と決めつけることではなく、自分の体の反応を見ながら、無理なく整える方法を探すことだと思います。

温泉を楽しむための注意点

温泉を安全に楽しむために、次のような時は無理をしないでください。

  • 発熱している時
  • 感染症や炎症が強い時
  • 喘息発作気味の時
  • 少し動くだけで息苦しい時
  • 胸痛や動悸がある時
  • 飲酒後
  • 強い疲労や寝不足がある時
  • 皮膚がただれている、じゅくじゅくしている時

また、温泉に入る前後には水分をとり、浴槽から出る時はゆっくり立ち上がることも大切です。

皮膚の弱い方は、刺激の強い泉質に入った後、温泉成分を軽く洗い流した方がよい場合があります。

そして、入浴後の保湿は忘れないでください。

身近な温泉で、自分の体と向き合う

今回、横浜市内で源泉加温かけ流しの温泉に入りながら、あらためて感じました。

遠くの名湯もよい。
山奥の秘湯もよい。
けれど、身近にある温泉もまた、とてもありがたい。

忙しい日常の中で、少しだけ呼吸をゆるめる。
肩の力を抜く。
肌の状態を感じる。
体が温まる感覚を味わう。

温泉は、ただ体を洗う場所ではありません。
自分の体と静かに向き合う時間でもあります。

ゴールデンウィークに訪れた身近な温泉で、私はあらためて「整える」ということの大切さを感じました。

皆さまも、温泉に入る時には、ぜひ泉質表示を少し眺めてみてください。

そして、「自分にはどんな温泉が合うのか」を感じながら、無理なく楽しんでいただければと思います。

温泉は薬ではありません。

しかし、自分に合った入り方を知れば、心と体を整える大切な生活習慣のひとつになります。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口裕礼


投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞