🌬️第2回「空気中の敵!喘息と真菌(アスペルギルス・アルテルナリア)」

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です🌿

前回は、「甘いものが好きな人ほど喘息が重いかも?」という、私たちが臨床現場で感じる“なんとなくの違和感”についてお話しました。

今回はその中でも特に注目したい、“見えない敵”の話。
そう、真菌(カビ)です🦠

🧫空気中の“見えないアレルゲン”

みなさんは、「カビ」と聞くとどんなイメージを持ちますか?

お風呂の隅に生える黒いもの?
パンの上にふわっと出てくる白い綿のようなもの?

実はその“カビ”の胞子は、ふだん私たちが吸い込んでいる空気中にも普通に浮遊しています。

🌬️それ自体は無害…でも

ほとんどの人にとっては無害なこれらの胞子ですが、アレルギー体質のある方にとっては話が別

吸い込んだ瞬間から体内の免疫が過剰に反応し、
咳、息苦しさ、喘鳴(ゼーゼー)などの喘息症状を引き起こすことがあるのです。

🦠アスペルギルスとアルテルナリア:喘息と深く関わる“2大カビ”

とくに問題となるのが、次の2種類の真菌です。

🟣1. アスペルギルス(Aspergillus fumigatus)

  • 土やほこり、腐葉土、水回りなどに広く存在
  • 吸い込んでも普通は発症しないが、喘息やアレルギー体質の人では症状悪化の引き金に
  • アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の原因としても有名

🟤2. アルテルナリア(Alternaria alternata)

  • 室内外を問わず浮遊するカビの一種
  • 小児や若年成人の喘息悪化に強く関与していることが多い
  • 花粉やダニより影響が強いという報告も📈

📊真菌アレルギーを持つと、喘息が重くなる傾向に

実際、真菌アレルギーを持っている患者さんでは…

  • 咳や息切れが長引く
  • 夜間・早朝に症状が悪化する
  • 吸入薬を使っても効きにくい
    といった“治療抵抗性”のパターンが目立ちます。

これらの背景には、アレルゲンであるカビの「吸い込み」だけでなく、気道内への「定着」(colonization)というメカニズムも関係していると考えられています。

🧩「定着」とは…?

簡単に言うと、「肺の中に住みついてしまう」状態です。

つまり、一時的に吸い込んで炎症を起こすだけでなく、カビが気道内で棲みついて慢性炎症を引き起こす
これが慢性的な咳や喘息悪化の“奥深い原因”の一つと考えられています。

💡まとめ:吸い込む+住みつく=重症化リスク

真菌の関与影響
空気中の胞子を吸い込む一時的な喘息の悪化
気道に定着する慢性炎症/治療抵抗性の喘息
アレルギー体質反応が強く出やすい

📝次回予告

第3回では、

📌 「腸と肺がつながってる⁉“腸肺軸”のひみつ」
をテーマに、腸内の状態がどうして呼吸器の健康に関わってくるのか?
少しずつ紐解いていきます📖

🍀真菌アレルギーは見た目ではわかりませんが、
呼吸器の不調が長引いている人には、意外と関係しているかもしれません。
自分の症状に耳を傾け、生活習慣や環境を見直すことも大切ですね🫁

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)