🏔️ 咳と息切れの山で、何度も迷ってしまうあなたへ

――「自分は普通」と思っているけれど、なぜかいつも同じ場所で立ち止まってしまう方へ――

こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 院長の 山口裕礼(やまぐち ひろみち)です。

これまでのブログでは、
✅ 患者さん=登山者
✅ 医師=シェルパ(山岳ガイド)
✅ 家族・スタッフ=登山隊
というお話を続けてきました。

今日は、その登山の中でも、
少しだけ“道に迷いやすい方”に向けた、大切なお話をしたいと思います。

🏕️ 実は、この山は「二人」だけで登っているわけではありません――静かに支える“見えない仲間たち”の存在――

ここまでのお話では、医師=シェルパ(山岳ガイド)患者さん=登山者としてお伝えしてきました。 でも実は――この山は、決して二人だけで登っているわけではありません。 …

🔍 ご本人は「普通」だと思っていることがほとんどです

ここで、最初にとても大切なことをお伝えします。

👉 ご本人は、ほとんどの場合「自分は普通」だと思っています。

それは、とても自然なことですし、
それでいいのです。

でも、医師として診ていると、
次のような方が、少なくありません。

✅ 説明を何度聞いても、なぜか理解が定着しない
✅ 今日言ったことと、次に来たときの話がまったくつながらない
✅ 薬の飲み方が、どうしても守れない
✅ その時その時の感情で判断してしまう
✅ 自分が困っている理由が、うまく言葉にできない

これは、性格の問題でも、怠けでもありません。

🧠 医師の目から見ると「理解のペースが、少しゆっくりなだけ」

医学的には、
「境界知能」「境界型知的機能」と呼ばれるグループの方が、
人口の中に一定数いらっしゃいます。

ですが――

👉 ご本人は、ほぼ間違いなく“自覚がありません”。
👉 普通の学校を出て、普通に仕事をして、普通に生活しています。

ただ、
✅ 抽象的な説明が苦手
✅ 先の見通しが立てにくい
✅ 因果関係の理解が難しい
✅ 失敗から学びにくい

という「特性」を持っているだけなのです。

🏔️ このタイプの方は、「地図を読むのが少し苦手な登山者」です

登山でたとえるなら、こうです。

✅ 体力はある
✅ 歩く気力もある
✅ 山に登る意欲もある

でも――
👉 地図を読むのが、少し苦手
👉 道標の意味を、誤って解釈しやすい
👉 「今どこにいるか」が分かりにくい

その結果、

⚠ 同じ場所を何度もぐるぐる回る
⚠ 危ない方向へ進んでしまう
⚠ シェルパの声が届きにくい
⚠ 「もう分かった」と言うけれど、実際には分かっていない

ということが起こります。

🤝 シェルパが必要な理由は「能力」ではなく「道の特性」の問題です

ここで、はっきりお伝えしたいことがあります。

👉 この方たちは「ダメ」なのではありません。
👉 この山が、その人にとって“少しだけ登りにくい形をしている”だけなのです。

だからこそ、

✅ 説明は、短く
✅ 具体的に
✅ 何度でも
✅ 図や紙に書いて
✅ 一緒に確認しながら

――これが、本来の「正しいシェルパの歩き方」なのです。

💊 薬を守れないのは「意志が弱い」のではありません

このタイプの方で、非常に多いのが、

「薬を勝手にやめる」
「飲み方を自己流に変える」
「いつの間にか通院しなくなる」

というパターンです。

でもそれは、

❌ さぼり
❌ 反抗
❌ 自己管理能力の欠如

ではありません。

👉 “登山計画を頭の中で保持することが、難しいだけ”なのです。

👪 家族は「命をつなぐ第二のシェルパ」です

このタイプの患者さんにとって、
家族は、実は「医師以上に大切なシェルパ」になることがあります。

✅ 受診日を一緒に確認する
✅ 薬を一緒に管理する
✅ 体調の変化に気づく
✅ 話のつじつまがずれていたら、そっと修正する

これは、甘やかしではありません。

👉 命綱を二重にかけているだけです。

🧑‍⚕️ 私は、このタイプの患者さんの「ゆっくり歩くシェルパ」でありたい

私は、こうした患者さんに対して、

❌ 叱りません
❌ 責めません
❌ 「なぜできないの?」とは言いません

ただ、こう考えています。

👉 「この方のペースで、頂上まで行けばいい」

途中で迷ってもいい
何度同じ場所に戻ってもいい
時間がかかってもいい

登頂を“あきらめさせないこと”が、シェルパの役目です。

🍀 最後に:あなたは「遠回りが必要なルート」を歩いているだけです

このブログを読んで、

「もしかして、自分のことかもしれない…」
そう思った方へ。

あなたは、

❌ 劣っているのではありません
❌ 価値が低いのでもありません
❌ 人生に失敗しているのでもありません

👉 ただ、“少しだけ時間のかかる登山道”を歩いているだけです。

私は、あなたの歩幅を無理に変えません。
あなたのペースで、
あなたの道で、
一緒に頂上を目指します。

この山は、
あなた一人で登らなくていい山です🏔️✨

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞