笑うことは、健康長寿の「処方箋」になるのか

抗加齢学会で学んだ「笑医力」

こんにちは。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック院長の山口裕礼です。

本日、横浜で開催されている抗加齢医学会に参加してきました。

抗加齢医学というと、食事、運動、睡眠、検査、薬、サプリメント、美容医療などを思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、どれも大切です。

しかし今回、私の心に特に残ったのは、もっと身近で、誰にでも関係する健康へのアプローチでした。

それは、「笑い」です。😊

笑医力で、健康長寿をめざす

高柳和江先生のご講演タイトルは、
「笑医力で健康長寿をめざす」でした。

「笑医力」という言葉には、単に面白いことを言って笑わせるという以上の意味があるように感じました。

人が安心し、感動し、受け入れられ、自分らしくいられると感じたときに生まれる笑顔や笑い。

そのような前向きな感情が、心だけでなく、身体や人生そのものに良い影響を与えるのではないか。

そんな視点から、長年にわたる実践や取り組みが紹介されました。

笑いがあふれる病院で見た、医療の原点

高柳先生は、クウェートのイブン・シナ病院で小児外科医として10年間勤務された経験をお持ちです。

そこでは、医師も子どもたちも、病院の中に笑顔があふれていたそうです。

もちろん、手術や治療は真剣です。
病気は決して軽いものではありません。

それでも、患者さんやご家族が少しでも安心し、医療者側も人間らしさを失わずに関わる。

そのような環境が、術後の経過や患者さんの回復を支える大切な土台になっていた、というお話が印象的でした。

医療は、検査値や画像所見、薬の種類だけで完結するものではありません。

「この先生なら話してもいい」
「この場所なら少し安心できる」
「自分はひとりではない」

そう感じられること自体が、治療を受ける力につながるのだと思います。

ほほえみの太陽という考え方

高柳先生は、前向きな感情や感動の笑いを生活の中に取り入れる方法として、
「ほほえみの太陽(Smile-Sun-Method:SSM)」を提唱されています。

次のような要素です。

・相手を適切にほめること
・ストレスへの向き合い方を身につけること
・否定的な気持ちや意見を、相手を傷つけずに伝えること
・感謝を言葉にすること

どれも、特別な道具や高額な治療を必要とするものではありません。

しかし、日常では意外と難しいことでもあります。

忙しいとき、不安なとき、体調が悪いとき。
私たちはつい表情が硬くなり、周囲にも厳しくなってしまいます。

だからこそ、「笑顔でいなければならない」ということではなく、
笑顔が自然に生まれる関係や環境をつくることが大切なのだと感じました。

笑いで病気が治る、とは簡単には言えません

ここは医師として、慎重にお伝えしたいところです。

笑うことだけで、すべての病気が治るわけではありません。

がん、心臓病、脳卒中、喘息、COPD、皮膚疾患、感染症などは、適切な検査、診断、治療を受けることが基本です。

必要な薬をやめたり、医学的に必要な治療を笑いだけで代替したりすることは、決して勧められません。

一方で、治療を受ける人の不安、孤独、抑うつ、意欲低下、ストレスが、生活の質や治療継続に影響することもあります。

笑い、安心感、人とのつながり、感謝、自分らしさ。

こうした要素は、薬と対立するものではなく、
治療を支える「もう一つの力」になり得ます。

「長生き」よりも、「よく生きる」こと

抗加齢医学は、単に寿命を延ばすための医学ではありません。

年齢を重ねても、自分らしく動けること。
人とつながれること。
楽しみを持てること。
誰かの役に立てること。

つまり、健康寿命をどう豊かにするかを考える医学です。

今回の講演を通じて、健康長寿に必要なのは「正しい生活習慣」だけではないと改めて感じました。

食事を整えること。
運動すること。
眠ること。
病気を早く見つけること。
必要な治療を続けること。

そしてもう一つ。

笑えること。
笑わせてもらえること。
誰かと気持ちを分かち合えること。

これもまた、健康長寿の大切な要素なのだと思います。

クリニックも、笑顔が生まれる場所でありたい

病院やクリニックは、誰にとっても少し緊張する場所です。

咳が続いて不安な方。
息苦しさがある方。
皮膚の症状で、人に会うことがつらくなっている方。
美容の悩みを、誰にも相談できずに来院される方。

さまざまな不安や背景を抱えた患者さんが来られます。

だからこそ当院は、単に診断し、薬を出し、施術を行うだけの場所ではなく、

「ここに来てよかった」
「話せて少し気持ちが軽くなった」
「また明日から頑張れそう」

そう感じていただける場所でありたいと考えています。

笑いは、無理につくるものではありません。

安心できる空気の中で、ふと表情がやわらぐ。
医療者との会話の中で、少し気持ちがほどける。
家族や友人と、何気ないことで笑い合える。

その積み重ねが、心と身体の回復力を支えるのかもしれません。

今日からできる、小さな「笑医力」

最後に、今日からできることを3つだけ挙げてみます。

①「ありがとう」を言葉にする

小さなことでも、感謝を言葉にすると、自分の気持ちも少し整います。

② 身近な人の良いところを一つ伝える

ほめることは、相手のためだけではありません。
関係性をやわらかくし、自分自身の気持ちも前向きにします。

③ 1日の終わりに、少しでも笑えた瞬間を思い出す

大笑いでなくても構いません。

「あの時、ちょっと嬉しかったな」
「あの会話は楽しかったな」

そんな小さな記憶で十分です。

まとめ

健康長寿のために必要なのは、医学的に正しい知識と、適切な医療です。

そして同時に、人生を支える人とのつながり、安心、感動、笑いも大切です。

今回の抗加齢学会で学んだ「笑医力」は、最新機器や新しい薬とは違う、昔から人間が持っている力を思い出させてくれるものでした。

笑顔は、治療の代わりではありません。

けれど、治療を受ける力、生きる力を支える大切な要素にはなり得ます。

皆さんの今日が、少しでも笑顔のある一日になりますように。😊

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞