【“外来に行くのがつらくなってきたら”──慢性期疾患こそ往診という選択肢】🏠🚗💨

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口裕礼です。
外来には、今日も多くの患者さんが来られます。
その中には、慢性的に呼吸が苦しい方、足腰が弱ってきた方、認知症が進んだ方など、
「来院そのものが負担になりつつある患者さん」が確実に増えています。
長年通ってくださる気持ち、
「先生に診てもらいたい」という思い、
それは本当にありがたいことです。
しかし慢性期疾患では、
“無理をしてまで外来に来ないほうが、むしろ良い結果になる”
そんな場面がたくさんあります。
今日は、慢性期の患者さんにとっての
往診(在宅医療)の本当の価値を、分かりやすくお話ししたいと思います。
■ 慢性期疾患は「良くなったり悪くなったり」を繰り返す病気🌿
呼吸器・循環器・認知症・皮膚疾患・整形疾患などの慢性疾患は、
- 良い日
- 動けない日
- 外出しようと思ったら急にしんどい日
を繰り返します。
その波は 誰のせいでもありません。
病気の特性です。
そして問題は、
“しんどい日”に外来へ無理して来ること。
・駅で倒れる
・タクシーに乗るだけで息切れ
・クリニックの待合室で悪化
・帰り道でぐったり
こういうケース、実は少なくありません。
慢性期の方ほど、移動だけで体力を大きく消耗します。
そこで守ってくれるのが、往診です。
■ 往診は「弱った人の最終手段」ではありません🙅♂️
よくある誤解はこれです。
❌ 往診=もう動けない人だけ
❌ 往診=最期に入るもの
❌ 往診=重症者限定
実際には全く違います。
むしろ現実はこうです👇
◎ 往診=“慢性期の人ほど、早めに切り替えるべき医療”
呼吸器疾患(COPD・間質性肺炎・重症喘息)
心不全
認知症
難治性皮膚疾患
脳梗塞後遺症
パーキンソン病
など…
「少しの外出でも疲れる」「波がある」
こういう病気こそ相性が良いのです。
■ 往診に切り替えるべき“サイン”とは?📝✨
次のような状態が出てきたら、往診を考えていいタイミングです👇
① クリニックに来ると疲労が大きい
帰宅するとぐったりして半日寝込むタイプの疲れ方。
② 移動中の転倒や息切れが心配
高齢者・呼吸器疾患では非常に多いリスクです。
③ 介助者(家族)の負担が増えてきた
移動・待ち時間・車椅子対応…家族の疲労も限界に近いことがあります。
④ 家では安定するのに、外出すると急に悪化
慢性呼吸器疾患ではよくある現象です。
⑤ 認知症で環境が変わると不安定になる
慣れた家のほうが、診察がスムーズな場合があります。
これらは、
「外来が役割を終えつつあるサイン」
です。
■ 往診のメリットは“病院より多い”ことが多いです🏠✨
往診では、医師が患者さんの生活の場に入り込みます。
そのため外来では見えないことが見えます👇
● 生活環境
段差が多い?
酸素チューブが引っかかっている?
暑すぎる部屋で息苦しくなっている?
● 食事量
栄養状態は?
脱水の可能性は?
● 薬の飲み方
ちゃんと飲めている?
飲み忘れは?
そもそも薬の量が過剰?
● 家族の負担
無理をしていないか?
サポート体制は?
これらを把握できるのは
往診だけの強みです。
外来よりも正確な治療につながることが、実は多いのです。
■ 往診に切り替えるための具体的ステップ🪜
STEP1:まずクリニックに相談📞
「往診がいいか、外来でよいか」
症状と状況を伺えば判断できます。
STEP2:介護保険を活用する(高齢者は特に重要)📘
介護保険があると以下がスムーズになります👇
・ケアマネジャーの配置
・訪問看護
・福祉用具(ベッド・手すり)
・家族支援サービス
慢性期では、医療だけでは支えきれません。
医療+介護のセットが最強です。
STEP3:ケアマネジャーと連携👥
ケアマネは
「その人らしい生活」を支える専門家。
・往診の導入
・訪問看護との調整
・デイサービスの活用
・家族の負担軽減提案
など、医療を生活の中に落とし込みます。
■ まとめ:慢性期こそ、往診で“続けられる医療”へ🌿
慢性期疾患は、
“がんばり過ぎない医療”への切り替えが大切です。
🚗 無理をして外来に来る
ではなく
🏠 家で落ち着いて診てもらう
この選択が、病状の安定につながります。
そして、
往診は“終末期の医療”ではありません。
「慢性期をその人らしく生きるための医療」です。
外来に行くのがつらくなってきたと感じたら、
どうか遠慮なくご相談ください。
あなたの体と生活を守るために、
往診という選択肢があります。
投稿者プロフィール

-
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
カラダ取説®マスター・ジェネラル ← NEW✨
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞
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