慢性呼吸器疾患と体重管理:効率よく食べて健康的に太るためのポイント
慢性呼吸器疾患、特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を持つ男性や、気管支拡張症の女性では、痩せすぎが問題になることがよくあります。
呼吸器疾患の患者さんは、呼吸そのものに多くのエネルギーを使うため、体がカロリーを消費しやすい状態にあります。
その結果、栄養不足や体重減少が起こりやすく、筋力低下や免疫力の低下を引き起こす可能性もあります。
そこで、効率よくカロリーを摂取して、健康的な体重を維持するための食事のポイントをご紹介します。
1. 高カロリーで栄養価の高い食品を選ぶ
痩せやすい体質や状態の方は、少量でも効率よくカロリーを摂取できる食品を選ぶことが大切です。
以下のような食品を積極的に摂りましょう。
- 良質な脂質:オリーブオイルやアボカド、ナッツ、魚に含まれる不飽和脂肪酸は、少量で高カロリーな上、健康にも良い脂質です。料理に少し加えるだけで、効率的にエネルギーを補えます。
- タンパク質:筋肉の維持や強化には、タンパク質が欠かせません。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品など、バランスよく摂取するように心掛けましょう。消化が負担になりにくい形で調理すると、食べやすくなります。
- 高カロリーな間食:ナッツやチーズ、ヨーグルトなどの栄養価の高い間食を取り入れることで、無理なくカロリーを補えます。
2. こまめに少量ずつ食べる
食欲が低下している方や一度にたくさん食べられない方は、1日3食ではなく、少量ずつこまめに食べることを心掛けましょう。
たとえば、1日に5回や6回に分けて食事や間食を摂ると、食事が負担になりにくく、結果的に摂取カロリーを増やせます。
3. タンパク質と脂質をしっかり摂取
COPDや気管支拡張症の患者さんは、筋肉量の維持が非常に重要です。
筋力が低下すると呼吸筋にも影響が出て、さらに体力が奪われてしまうため、タンパク質と脂質の十分な摂取が必要です。
- タンパク質の目標量:体重1kgあたり1.2〜1.5gのタンパク質を目安に摂取することが推奨されます。例えば、体重50kgの方なら、1日に60〜75gのタンパク質を摂るように心掛けましょう。
- 脂質の重要性:カロリーを効率的に摂取するためには、良質な脂質を積極的に取り入れることもポイントです。バターやオリーブオイルを料理に使ったり、アボカドやナッツを日常の食事に加えると良いでしょう。
4. 医療で利用できる栄養補助食品の活用
食事だけでは体重を増やすのが難しい場合、医療機関で処方できる栄養補助食品を活用することも考えましょう。
たとえば、エンシュアなどの健康医療食品は、保険診療で処方可能であり、効率的に栄養を補給できます。
特に、食欲が低下している方や、必要なカロリーを十分に摂取できない方には、こうした医療食品が非常に役立ちます。
医師に相談して、適切な栄養補助を受けるようにしましょう。
5. 水分補給と消化に優しい食事
呼吸器疾患の患者さんは、水分補給も忘れずに行うことが大切です。
しかし、一度に大量の水を摂るとお腹がいっぱいになり、食事が進まなくなることもあります。
水分はこまめに摂取し、消化に優しい食品を選ぶことで、無理なく栄養を摂取できます。
- スープやシチュー:これらの料理は、消化が良く、栄養価の高い食品を取り入れやすいです。また、スープにオリーブオイルやバターを加えることで、カロリーを補うことも可能です。
- スムージーやプロテインドリンク:食欲がないときでも、スムージーやプロテインドリンクは飲みやすく、必要な栄養を手軽に摂取できます。
6. 食事を楽しく、ストレスなく続ける
体重を増やすことに焦りを感じたり、食事にストレスを感じると、逆に食欲が低下することがあります。
食事は無理せず、自分のペースで楽しみながら続けることが大切です。
家族や友人と食事を楽しむことで、リラックスしながら食事ができ、摂取量も自然と増えることがあります。
慢性呼吸器疾患を持つ方が、痩せすぎずに健康的な体重を維持するためには、効率よく食べる工夫が必要です。
少量でも栄養価が高く、カロリーの高い食品を選び、こまめに食事を摂ることで、無理なく体重を維持しましょう。
医療食品も適切に利用しながら、日常の食事を楽しみつつ健康的な体作りをサポートしていきましょう。