【2024年下半期中間報告】5つの生物学的製剤を徹底比較!あなたの喘息に合う薬は?
2024.11.1
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック original
こちらのページでは、当院で使用している生物学的製剤の実績と特徴を中心に解説しています。
喘息やアレルギー症状に悩む患者さんにとって、適切な薬剤を選ぶ参考になれば幸いです。
概要:生物学的製剤とは?
生物学的製剤は、従来の薬とは異なり、特定の炎症因子を狙って作用する点が特徴です。
重症喘息をはじめ、アレルギー症状やアトピー性皮膚炎などの治療に多く用いられており、効果的なコントロールをサポートします。
それぞれに適した薬剤があるため、ここでは主要な5つの生物学的製剤をご紹介し、比較いたします。
1. 殿堂入り:オマリズマブ(商品名:ゾレア)
メーカー:ノバルティス(スイス製)
- 効果:喘息だけでなく、花粉症や蕁麻疹にも効果がある薬です。
- 実績:当院でも多くの患者様が花粉症と喘息のコントロールに使用し、高い支持を得ています。
- 費用対効果:歴史が長く、実績が豊富なため、コストパフォーマンスに優れています。
- 注意点:稀に注射部位に腫れや痛みが出ることがあります。
ポイント:花粉症と喘息に両方悩む方には一石二鳥の選択肢となる薬です。アレルギーによる咳や鼻炎、皮膚のかゆみが続く場合に特に効果的です。
2. 横綱:デュピリマブ(商品名:デュピクセント)
メーカー:サノフィ(フランス製)
- 効果:喘息とアトピー性皮膚炎の両方に効果があり、特にアトピー症状の改善に優れています。
- 実績:多くの患者様に使用され、2024年下半期も新たな利用者が増えています。
- サポート体制:米国のリジェネロンとの協力で、今後さらに手厚い支援体制が期待されます。
- 注意点:目のかゆみや腫れなどの軽い副作用が報告されることがあります。
ポイント:喘息とアトピー性皮膚炎の両方を持つ方には、同時に治療できる非常に有効な選択です。小児から成人まで幅広く使用可能で、幅広い適応があり今後の活用が期待されています。
3. 大関(東):メポリズマブ(商品名:ヌーカラ)
メーカー:グラクソスミスクライン(イギリス製)
- 効果:好酸球が高い喘息患者に有効で、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎にも適応があります。
- 実績:オマリズマブに次ぐ歴史があり、グラクソスミスクライン社にて重要視されている薬です。
- 注意点:注射部位の腫れや軽度の倦怠感を訴えるケースがあります。
ポイント:好酸球性炎症が顕著な患者様には非常に有効な薬です。慢性副鼻腔炎やアレルギーのある方には効果的です。
4. 大関(西):テゼペルマブ(商品名:テゼスパイア)
メーカー:アストラゼネカ(イギリス製)
- 効果:あらゆるタイプの喘息に期待されている新しい薬ですが、特にアレルギー性の炎症がある場合に効果が現れる傾向があります。
- 実績:まだ新しい薬で、実績を積んでいる段階です。
- 注意点:一部の患者様において、軽度の疲労感が見られることがあります。
ポイント:アレルギー性炎症の傾向がある患者様であれば、比較的新しい選択肢として検討できます。
5. 関脇:ベンラリズマブ(商品名:ファセンラ)
メーカー:アストラゼネカ(イギリス製)
- 効果:好酸球数が高い喘息患者に有効ですが、自己注射製剤がないことがややハンディです。
- 実績:喘息のみに特化した適応で、当院でも適応に該当する患者様に選択されています。
- 注意点:軽度の倦怠感が生じる場合があります。
ポイント:自己注射のオプションはありませんが、好酸球性喘息に特化した効果があり、適応のある患者様には有効です。
比較まとめ
薬剤名 | 特徴 | 適応疾患 | 実績 |
---|---|---|---|
オマリズマブ | 花粉症や蕁麻疹にも効果 | 喘息、花粉症、蕁麻疹 | 高い実績 |
デュピリマブ | 喘息とアトピーを同時に改善 | 喘息、アトピー性皮膚炎、副鼻腔炎等 | 非常に高い |
メポリズマブ | 好酸球が高い喘息患者に有効 | 喘息、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症等 | 安定した実績 |
テゼペルマブ | 比較的新しい、アレルギー性炎症に効果 | 喘息 | 新薬 |
ベンラリズマブ | 好酸球数が高い喘息患者に有効 | 喘息 | 安定した実績 |
ご自身の症状やライフスタイルに合う薬剤が見つからない方、もしくはどの薬剤が最適か迷われている方は、ぜひ当院にご相談ください。
それぞれの薬剤について詳細に説明し、患者様一人ひとりに適した治療法を一緒に考えてまいります。