認知症は食事で予防できる?最新研究からわかった効果的な食習慣

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼です。

当院では呼吸器疾患や皮膚科疾患を専門に診療していますが、長く通院いただく患者さんが年齢を重ねる過程で、認知症を発症するケースもあります。

私は認知症の専門医ではありませんが、薬以外にも有用とされる知識をある程度もっていますので、今回は「薬以外の認知症対策」についてお伝えしたいと思います。

認知症の予防・改善に重要な食事のポイント

認知症は脳の炎症や代謝異常など、さまざまな原因が複合的に関係していると言われています。

薬物療法だけでなく、日々の食生活や生活習慣を整えることが大変重要です。

近年注目されているリコード法(ReCODE法)は、アメリカの神経内科医・デール・ブレデセン医師が提唱した、認知症予防と改善のためのプログラムです。

その要点を取り入れつつ、当院が推奨する食事のポイントをまとめました。

認知症における「食事」の役割

認知症や加齢に伴う脳機能の低下に対して、薬物療法だけでなく、生活習慣―特に食事の見直しが非常に大切です。

なぜ食事が重要なのか?

  • 栄養バランスの最適化: 脳の働きを支えるために、必要な栄養素をバランスよく摂取することは基本中の基本です。
  • 炎症や酸化ストレスの軽減: 特定の食材は体内の炎症反応を抑え、脳を酸化ストレスから守る働きがあります。
  • 腸内環境の改善: 腸と脳は密接な関係があり、腸内環境の整備は脳の健康維持に寄与すると言われています。

1. グルテンフリーを意識する

パンや麺類を避ける

小麦に含まれるグルテンが腸内環境に悪影響を与え、慢性的な炎症を引き起こす可能性が指摘されています。

全ての方がグルテンを完全に除去する必要はありませんが、パンやパスタ、菓子類の摂取を減らし、米やそば、米粉製品などへ置き換えることで腸内環境を整える効果が期待できます。

2. ぬか漬けなどの発酵食品を活用

発酵食品を食べる

発酵食品は腸内細菌のバランスを整え、免疫力や脳機能をサポートしてくれます。

日本人の伝統食であるぬか漬けは良質な乳酸菌を多く含み、腸内環境改善に役立ちます。

キムチや納豆、ヨーグルトなども取り入れるとさらに効果的です。

3.てんさい糖(甜菜糖)など血糖値を急上昇させにくい糖

白い砂糖はさける

白砂糖は血糖値を急激に上げ、インスリンの過剰分泌や炎症を引き起こしやすいとされています。

一方で、甜菜糖(てんさい糖)や、体に優しい甘味料を適度に使うことで血糖値の急上昇を抑えられます。

甘いものを完全に止めることは難しいかもしれませんが、質の良い甘味料に置き換えるとよいでしょう。

4. 天然の塩を選ぶ

天然の塩をとる

食塩の中には精製過程でミネラルが失われているものも多いです。

海塩や岩塩など天然の塩を使うことで、塩化ナトリウム以外のミネラル分も一緒に摂取でき、体のバランス維持に役立ちます。

5. 質のよいタンパク質を摂る

魚が良い理由

認知機能を保つためにタンパク質は欠かせません。

肉や魚、大豆製品、卵などから適量を摂ることが大切です。

特に青魚に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA、DHA)は、脳の健康をサポートする働きがあります。

サバやイワシ、サンマなどを普段の食事に取り入れましょう。

6. 無添加を意識する

お菓子はやめる

食品添加物は長期的にみると腸内環境や解毒システムへ影響を与え、慢性炎症や代謝異常を起こしやすくなる可能性があると言われています。

毎日の食事でできるだけ無添加の食材や調味料を選ぶことを心がけてみてください。

7. 質のよい油を使う

使いまわしの油はダメ

油は脳の構成成分の一つでもあります。

トランス脂肪酸を多く含むマーガリンやショートニングは控え、オリーブオイル、エゴマ油、アマニ油、ココナッツオイル(MCTオイル)など抗酸化作用や良質な脂肪酸を含む油を積極的に取り入れると良いでしょう。

8. 旬の野菜と果物を楽しむ

季節の野菜と果物を食べる

自然の恵みを最大限に受けとるには、旬の野菜や果物を取り入れることが効果的です。

抗酸化物質やビタミン、ミネラルが豊富で、体内の炎症や酸化ストレスを軽減してくれます。

生活習慣の改善もあわせて

リコード法では、食事だけでなく睡眠、運動、ストレスケアなどライフスタイル全般を整えることが強調されています。

たとえば、夜更かしを避けて十分な睡眠を確保する、軽めでも毎日の有酸素運動を取り入れる、趣味や瞑想でストレスを緩和するなど、できることから始めてみましょう。

当院でできるサポート

当院は呼吸器・皮膚科の専門クリニックですが、患者さんの全身状態にも配慮した診療を心がけています。

認知症に対して専門的な薬物治療を行うことは難しいかもしれませんが、ご家庭での日常ケアに役立つアドバイスや、必要に応じた専門医への紹介なども行っております。

気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

まとめ

認知症は、単に脳の問題ではなく、体全体の代謝や炎症と深く関係しています。

大事なこと

薬以外の対策として、グルテンフリーや発酵食品の活用、質の良い油やタンパク質、無添加食品の選択、旬の食材の摂取などを意識してみてください。

これらはリコード法の考え方にも通じる、認知機能の維持・改善につながる重要なポイントです。

今後も患者さんとご家族の皆さんに有益な情報をお届けしてまいりますので、ぜひブログをご活用ください。

少しでも皆さまの健康増進と安心につながれば幸いです。


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やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本喘息学会認定喘息専門医
日本内科学会認定内科医
日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー
日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士
日本温活協会認定温活士
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。