現代の喘息治療の流れ 〜吸入ステロイド・全身ステロイド・生物学的製剤〜

こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

今回のブログでは、現在の喘息治療における基本的な流れについてお話しします。

喘息治療の基本

今の時代、まずは吸入ステロイドが第一選択となり、発作時には短期全身ステロイドを使用します。

それでも十分にコントロールできない場合には生物学的製剤を検討するのが一般的なステップです。

ステップ1:吸入ステロイドが第一選択

吸入ステロイドの役割

  • 気道の炎症を直接抑える
    喘息の本質は気道の慢性的な炎症です。吸入ステロイドは気道に直接働きかけ、炎症をコントロールすることで発作を予防し、重症化を防ぎます。
  • 全身副作用が少ない
    局所的に作用するため、全身ステロイドに比べて副作用リスクが低く、安心して長期使用できるのが大きな利点です。

ステップ2:発作時には全身ステロイド

なぜ全身ステロイドが必要?

  • 強力に炎症を抑える
    吸入ステロイドだけでは抑えきれない急性発作時には、全身ステロイドを短期間使用して気道の炎症を素早く抑えます。
  • 重症化・生命リスクを回避
    喘息発作はときに呼吸困難を起こし、命にかかわる場合もあります。全身ステロイドを適切に使うことで、重症化を予防し、呼吸を安定させることができます。

ステップ3:全身ステロイドの使用量が多い場合は生物学的製剤を検討

生物学的製剤とは?

  • ターゲットを絞った治療
    抗IgE抗体や抗IL-5抗体など、特定の炎症メカニズムをピンポイントで抑える薬剤です。従来の治療では十分に効果が得られなかった重症喘息患者さんに有効な場合があります。
  • ステロイド依存からの解放を目指す
    全身ステロイドを長期的に使うほどの重症例でも、生物学的製剤を導入することでステロイドの使用量を減らせる可能性があります。

日常で心がけたいこと

自分たちでできること

  1. 甘いものや精製食品を避ける
    糖分の過剰摂取や白米・白パンなどの精製食品の取り過ぎは、腸内環境を乱し、免疫機能にも影響する可能性があります。
  2. バランスの良い食事・発酵食品を取り入れる
    ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品、食物繊維が豊富な野菜・果物・海藻類を積極的に摂取しましょう。
  3. ストレス管理と適度な運動
    ストレスや運動不足は、喘息コントロールにも影響を与えます。無理のない範囲で体を動かし、リラクゼーションを心がけてください。

Q&A

Q1. 生物学的製剤はどんな人が使えますか?

A. 吸入ステロイドや全身ステロイドなどの従来治療でコントロールが不十分な中〜重症の喘息患者さんが対象となります。

具体的な適応は血液検査や症状の状態を総合的に判断しますので、主治医にご相談ください。

Q2. 全身ステロイドをよく使うと体への負担は大きいですか?

A. 全身ステロイドは長期的に使用すると副作用のリスクが高まります。

しかし、急性発作などの命に関わる状況を防ぐために必要な薬です。

医師の指示に従い、必要最小限の期間で使用しましょう。

Q3. 生物学的製剤はいつまで使うのですか?

A. 効果や副作用の状態を見ながら定期的に評価し、使用を継続するかどうかを判断します。

治療期間は個々の症状や重症度によって異なります。

Success

吸入ステロイドを中心とした現代の喘息治療は、過去と比べて格段に進歩しており、重症化や死亡率の大幅な低下に貢献しています。

必要に応じて全身ステロイドや生物学的製剤を活用しながら、一人ひとりの患者さんの状態に合わせた最適な治療を行うことが大切です。

ご不明な点やお悩みがありましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
院長 山口 裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。