クリニックだより 内科

ぜんそく(喘息)治療におけるメポリズマブ(ヌーカラ)についての講演|グランドプリンスホテル新高輪

内科

重症喘息と生物学的製剤(ヌーカラ)の講演

グランドプリンスホテル新高輪で講演会がありました。

佐々木と一緒に現地にて聴講をしました。

参加者:現地200名 web 250名

対象は内科医師で呼吸器専門医向け

keynote speech

オマリズマブ(ゾレア)、メポリズマブ(ヌーカラ)、デュプルマブ(デュピクセント)の適応の復習。

生物学的製剤の売り上げが上昇して、経口ステロイドの使用が減っているデータの提示あり。

講演1

基礎の先生からの話。

・アレルギー性気道炎症において急性期と慢性期において異なる機序

・炎症性好酸球と組織常在性好酸球の違い

・気道周囲の繊維化について

その他、自施設の基礎データを多数提示あり。

講演2

メポリズマブ(ヌーカラ)30例、ベンラリズマブ(ファセンラ)40例の使用経験ある先生からの講演。

文献から他の先生のデータをまとめるのがこちらの先生の役割。

重症喘息の大部分は好酸球性であるため、急性期は好酸球を制御することが第一選択と説明あり。

・各種、生物学的製剤の違いや適応の復習と第2選択肢の提示

・メポリズマブとベンラリズマブの比較
 メポリズマブは感染症を誘発させない可能性あり

・メポリズマブの強みについての話だが、テゼペルマブ(テゼスパイヤ)を意識しているデータ提示が複数あり
  症状QOLの改善、喫煙関連喘息、肥満喘息、網羅的なエビデンス

・英国においてはメポリズマブが伸びてベンラリズマブが下がってきているデータ提示あり

聴講者としては、この先生自身が経験しているヌーカラ30名vsファセンラ40名の比較を知りたい。

講演3

喘息の寛解について。
 
・小児喘息は26%が寛解

・成人喘息は20%が発症から10年以内に寛解

・デュプリマブにおける臨床的寛解のデータ

・臨床的寛解の先に何があるのか問題提起あり

・最終的には治癒を目指したい

パネルディスカッション

会場の人はスマホで参加するいつものアンケート形式。

1.生物学的製剤の満足度について
 会場の先生方にとって「おおむね満足」が第1位

2.生物学的製剤に期待する事
 会場の先生方にとって「増悪しない事」が第1位

など。

これといった内容は特に記憶に残らなかった。

個人的感想

高価な生物学的製剤については、使用する先生の専門性や経験、スキルによって導入するか否か分かれる薬である。

時に、喘息の臨床能力が高くない施設において生物学的製剤が多く導入されているケースもある。

日常診療のおける基本的な治療や評価がされずに重症喘息とされて導入されている可能性もある。

当院において治療方針に悩む患者さんはは呼吸器・アレルギー専門医の医師2名の意見が一致した場合に生物学的製剤を導入している。

重症喘息だからといって、何でもかんでも生物学的製剤にするのではない。

それ以前にできる事をすべて100%力を出し切ってから使用するものである。

今回の講演は主催メーカーにありがちな「自身の薬が一番良い」というような内容ではなかった。

しかし、少なからずメーカーにチラホラ配慮している先生もいるのは仕方がない事だろう。

数万円もする薬剤でもあるので、薬価に関する言及があっても良かったのではないだろうか。

患者さんによっては費用対効果を気にされるのは当たり前の話である。

様々な可能性を提示して参加者に考えさせるような内容であった。

自分の考えや方向性を確認することができて、今回は参加して良かった。