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吸入ステロイド使用中にカンジダと診断された場合の対応について

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吸入ステロイド使用中にカンジダと診断された場合の対応について

こんにちは、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

吸入ステロイドは、喘息治療において非常に効果的な治療法です。

しかし、稀に吸入ステロイドを使用している患者さんが耳鼻科で口腔カンジダ、または消化器内科で内視鏡検査を受けた際に食道カンジダと指摘されることがあります。

今回は、そのような状況における対処方法についてお話しします。

吸入ステロイドとカンジダの関連性

まず重要なことは、吸入ステロイドを使用しているからといって、すべてがカンジダ感染の原因となるわけではないということです。

カンジダが発生する背景には、体調不良や抗生剤の使用、過度な疲労による抵抗力の低下などが影響します。

また、糖尿病や免疫抑制剤の使用など、免疫力を低下させる要因もリスクを高めます。

これらの要因が重なったときに、免疫が弱まることでカンジダが発生しやすくなるのです。

対策と対応方法

多くの場合、吸入ステロイドを使い続けることが必要な一方で、簡単な工夫で症状を予防・軽減することができます。

  1. 吸入方法の確認と改善:

    吸入ステロイドの正しい使用方法を確認し、必要に応じて吸入技術の指導を受けることで、口腔内や咽頭への薬剤の付着を減らすことができます。特に定量噴霧式吸入器(MDI)を使用している場合、スペーサーの利用を検討すると効果的です。

  2. 使用後のうがいと定期的な口腔ケア:

    吸入後に丁寧にうがいをすることは、口腔内に残留する薬剤を取り除き、カンジダの予防に役立ちます。さらに、歯磨きや舌の清掃など、口腔内の衛生状態を保つこともカンジダの予防につながります。

  3. 免疫力の維持:

    バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を高めることも重要です。

  4. 他のリスク要因の確認:

    糖尿病や免疫抑制剤の使用など、他のカンジダ症のリスク要因がないか確認し、必要に応じて専門医に相談してください。

  5. 吸入ステロイドの調整:

    症状が気になる場合は、医師と相談しながら吸入ステロイドの量を調整することも可能です。

  6. カンジダ治療薬の使用:

    必要に応じてカンジダの治療薬を処方し、症状を緩和することができます。

最優先は喘息の治療

最も大切な点は、喘息治療を最優先に考えることです。

カンジダの問題に直面した場合でも、治療の中断や自己判断での減薬は避けてください。

まずは呼吸器内科に相談し、適切な治療計画を立てましょう。

耳鼻科や消化器内科でカンジダと診断された際にも、主治医である呼吸器内科医に情報を共有し、全体の治療方針を再評価することが重要です。

最後に

吸入ステロイドは喘息のコントロールにおいて必要不可欠な治療です。

副作用への不安を感じるかもしれませんが、正しい知識を持ち、適切な対応をすることでリスクを最小限に抑えることができます。

何か気になることがあれば、ぜひ呼吸器内科の医師にご相談ください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。