クリニックだより

完璧を求めて遠ざかる治療、良いあんばいで近づく改善

病気との健康な付き合い方

今日は、「病気との健康な付き合い方」についてお話したいと思います。

多くの患者さんは、完璧な治療を求めます。

これは自然なことで、誰もが病気から解放され、健康な生活を送りたいと願います。

しかし、私たち人間は完璧ではなく、医療技術も100%完璧な治療を保証できるわけではありません。

完璧を求めすぎることで、治療への道がかえって遠のいてしまうことがあります。

過剰に症状に反応したり、治療効果がすぐに見えないことに焦るなど、ストレスが溜まると免疫力が低下し、病状を悪化させる可能性もあります。

一方で、「良いあんばい」で病気と付き合うことができれば、治療の改善に向かうことが多く見られます。

これは、病気を受け入れ、それに適応する生活を送ることを意味します。

病気との完全な断絶は不可能ですが、うまく付き合いながら健康な生活を送ることは可能です。

たとえば糖尿病の患者さんの場合、食事療法や運動療法を守る一方で、時には好きなものを食べたり、旅行に出かけたりして心のバランスをとることが重要です。

性格や病気の種類によって、良いあんばいの付き合い方は異なりますが、完璧を求めずに病気とうまく付き合うことが治療の改善へと繋がることは間違いありません。

私たち医療者は、患者さん一人ひとりの性格や病状に合わせて、寄り添った治療を提供していきたいと考えています。

患者さん自身も、完璧を求めすぎずに、病気と良いあんばいで付き合っていくことで、より良い治療結果を目指しましょう。

さらに、完璧な医療を求める方々には、医療資源を可能な限り投資していくことも重要です。

しかし、それには金銭的な負担が伴います。大学病院での精密検査など、より高度な医療を求めることにより、「さらにさらに」と治療を追求していくうちに、気が付けば大きな変化が見られなかった、という結果になることもあります。

そして、さらにさらに、もっともっとと追及することで、結果的には満足のいく治療へと繋がらないこともあるのです。

このように、完璧を求めることは時には治療の進展を妨げることにもなり得ます。

一方で、治療に関するあくなき追及が医療の発展に貢献しているのも間違いありません。

重要なのは、現実に即した治療目標を設定し、自身の身体と病気に対して現実的な期待を持つことです。

病気との「良いあんばい」の関係を築くことが、長期的な健康と幸福への鍵となります。

医療資源の適切な利用とは、必要な時に適切な治療を受けることを意味します。

一方で、過剰な治療や不必要な検査は、患者さん自身の身体的、精神的負担だけでなく、医療コストの増加にも繋がります。

そのため、医師と患者さんがしっかりとコミュニケーションを取り、共に治療方針を決定していくことが重要です。

病気との闘いは、時には長期戦になることもあります。

その過程で大切なのは、自分自身の身体を理解し、病気を受け入れ、それに適応する生活を送ることです。

完璧な治療ではなく、適切な治療を目指すことが、最終的にはより良い健康状態をもたらすでしょう。

医療者として、私たちは患者さんがそのような健康的なバランスを見つけられるよう、サポートすることが使命です。

患者さんと共に、現実に即した目標設定を行い、一歩一歩前進していくことが、治療の成功への道です。

最後に、病気との付き合い方は人それぞれ異なります。

一人ひとりが自分にとって最適なバランスを見つけ、健康で充実した生活を送れるよう、私たちは患者さんを全力でサポートしていきます。

完璧を目指すことも大切ですが、その過程で自分自身や周囲の人たちとの関係を大切にし、心のバランスを保つことも忘れずにいたいものです。